2024年01月22日
バイオガスからのCO2除去(CDR)のパイオニアであるInheritに出資~両社の強みを掛け合わせ事業開発を推進~
住友商事は、バイオマス由来の二酸化炭素(CO2)を回収・貯留してCO2除去(CDR : Carbon Dioxide Removal)を行うノルウェー企業のInherit Carbon Solutions AS(以下「Inherit」)に出資しました。
InheritのCDR創出ノウハウを活用しCCUSビジネスをグローバル展開
CO2をはじめとする地球温暖化ガスの実質ゼロを達成し、カーボンニュートラル社会を実現するためには、削減手段を講じても排出量ゼロが実現困難な排出量を相殺するCO2除去(CDR)の導入が必要と言われています。大気中のCO2の回収・貯留(DACCS)やバイオエネルギーから発生するCO2の回収・貯留(BECCS)などのネガティブエミッション技術(※1)を活用することで発行されるカーボンクレジット市場は、足元の21億ドルから2030年に800億ドルまで成長すると予測されています。
Inheritは、北欧のバイオメタン(※2)生産者が生成過程で発生するCO2を引き取り、恒久的に地中に貯留することで高品質なCO2除去(CDR)由来のカーボンクレジットの発行を行うデベロッパーです。北欧におけるバイオメタン生産者との豊富なコネクションやCO2貯留層の利用権を活用し、2025年からCO2除去(CDR)由来のクレジット発行を目指しており、既にMicrosoftなどとの販売契約を締結しています。
当社とInheritは、当社が持つグローバルネットワーク・信用力とInheritのCO2除去ノウハウを組み合わせることで、欧米やアジア地域において、必要となる貯留権益を確保しながらCO2除去(CDR)クレジットを創出し、今後需要拡大が期待される航空・船舶業界や、将来的には日本企業向けの販売に取り組みます。CO2除去(CDR)クレジット創出を推進することによりCCUSバリューチェーンの構築を加速させ、カーボンニュートラル社会の実現を目指します。
住友商事のCCUS分野での取り組み
住友商事グループは、2050年の事業活動のカーボンニュートラル化や持続可能なエネルギーサイクルを実現するうえでCCUSを重要な手段のひとつと捉え、欧米やアジア地域にて「CO2分離・回収」「輸送・貯留」「利活用」の事業開発に取り組んでいます。CCSに適した貯留権益が限られる中、本件を足掛かりとし、先行する欧米にてCCUSの早期の事業化を目指します。また、将来的には蓄積した事業ノウハウを基に、グローバルに大型案件の開発およびバリューチェーンの構築に取り組みます。
当社グループは、今後もCO2や地球温暖化ガスの実質ゼロ達成のために必要なCO2除去(CDR)のクレジット創出・販売を通して、カーボンニュートラル社会の実現に取り組んでいきます。
- ネガティブエミッション技術
大気中のCO2やバイオマスから発生するCO2の回収と貯留または固定化などを組み合わせることにより、正味としてマイナスのCO2排出量を達成する技術。経済産業省は、2023年に「ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会」を立ち上げ、日本での活用を検討。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/negative_emission/index.html - バイオメタン
有機物の分解によって発生するバイオガスを精製したもの。将来の主要な再生可能ガスのひとつ。
https://energy.ec.europa.eu/topics/renewable-energy/bioenergy/biomethane_en