プロジェクト・パダヨン
―地方に暮らす子どもたちへの教育支援
PHILIPPINES
フィリピン住友商事(Sumitomo Corporation of the Philippines、以下SCOP)は、非営利団体「Black Pencil Project」と協力し、フィリピンの地方に住む子どもたちが質の高い教育を受けられるよう支援しています。物資の提供にとどまらず、地域のニーズを丁寧に把握しながら、交流を通じて生徒や教師の学びへの意欲を引き出す活動にも注力し、地域社会の未来を担う人材育成に貢献しています。
プロジェクト・パダヨンとは?
「パダヨン」は、フィリピンのビサヤ語で「前に進み続ける」という意味を持つ言葉です。プロジェクト・パダヨンは、地域社会への貢献を目的としたCSR活動として2019年に立ち上げられ、質の高い教育をより多くの若者に届けることで、将来さまざまな社会課題に挑戦できる人材の育成を目指しています。Black Pencil Project と連携し、経済的に困難な状況にあるフィリピンの子どもたちへ無償で学用品を提供するとともに、子どもたちが自らの未来に大きな夢を描き、前向きに歩み続けられるよう支援を行っています。
支援対象校の中から選んだラブニー統合学校は、山間部に位置する小規模校で、教育環境が十分に整っているとはいえません。支援が届きにくい地域だからこそ、継続的に関わることで長期的な変化につなげられると考え、訪問を重ねています。
2020年1月25日には、社員ボランティアがラブニー小学校を訪問し、幼稚園から6年生までの224名の児童に学用品を配布。さらに、10名の教師へ指導用キットを提供しました。また、校舎の一部の再塗装作業を支援し、児童や地域住民を対象とした食事支援プログラムも実施しました。学用品を受け取って目を輝かせる子どもたちの姿は、参加した社員にとって大きな励みとなり、後日、学校より感謝状を頂戴するという光栄にもあずかりました。
5年ぶりの再訪
新型コロナウイルスの影響や選挙期間中の治安上の懸念により、数年間学校を訪問できない状況が続いていましたが、2024年5月、ようやく活動を再開することができました。再開後の訪問では、フィリピン人社員、日本人駐在員、そしてその家族を含む、これまで以上に多くのボランティアが参加しました。午前8時の開始に間に合うよう早朝に出発し、悪路や川を越えながら、約5時間かけて学校を目指しました。
到着後、前回の訪問から学校が大きく発展している様子を目にし、私たちは非常に励まされました。現在は「ラブニー統合学校」と名称を改め、校舎も改修・拡張されて中等教育課程が新設されました。これにより、地域の子どもたちは故郷を離れることなく学びを続けられるようになりました。
再会した生徒たちは、簡単なあいさつと元気いっぱいのダンスで温かく迎えてくれました。その後、同行していた当社社長がスピーチを行い、続いて社員が子どもたちへ新しい学用品を配布しました。
学用品を配布した後、社員は地域を見学し、住民の皆さんと一緒に昼食を取りました。村を歩き、子どもたちが育つ環境や日常の様子を直接見ることで、今後どのような支援が最も効果的かを考える貴重な機会となりました。この地域では、日本人駐在員の訪問はほとんどないため、住民の皆さんは驚きつつも、とても喜んでくださいました。こうした文化を越えた交流を通じて、教育や地域の成長を支える力が生まれることを改めて実感しました。
学用品を受け取ったラブニー小学校の子どもたち
継続的な活動で確かな変化を
私たちは、単発の活動に終わらせるのではなく、同じ学校を複数年にわたり訪問しています。子どもたちや学校が時間とともにどのように成長していくのかを見守ることも、大切な目的の一つです。学用品の提供はもちろん喜ばれていますが、それ以上に重要なのは、交流を通じて子どもたちの人生に前向きな影響をもたらすことです。たった1日でも、地域の外から来た人々と触れ合う経験は、子どもたちのやる気や自信を高めます。実際に、私たちの関わりをきっかけとして、学校は物資の提供にとどまらない形で着実に変化と成長を遂げ始めています。
私たちボランティアにとっても、本プロジェクトは現地の教育環境を深く理解する貴重な機会となり、社員同士のつながりやチームワークが一層強まりました。活動を継続することの大切さを再認識するとともに、子どもたちの将来に対する明るい展望を感じさせてくれる経験にもなりました。前回に続いて参加したメンバーからは、5年の歳月を経て見違えるほど成長した子どもたちの姿に驚きの声が寄せられました。
ラブニー統合学校での取り組みの成果を受け、SCOPでは今後、プロジェクト・パダヨンの活動をさらに拡大していく予定です。マニラ首都圏近郊の山間部にある別の学校を新たな支援先候補として検討しており、学用品や食糧の提供に加えて、地域に寄り添った継続的な支援を実施していく方針です。これらの活動を通じて、フィリピンの子どもたちが直面する教育格差に向き合い、貧困の連鎖を断ち切る一助となることを目指しています。そして、生徒や地域との関係を丁寧に育みながら、子どもたちとコミュニティがともに力強く成長していけるよう、引き続き取り組みを進めていきます。
ラブニー統合学校を訪れたSCOP社員19名


