JAPAN

多文化共生のまちづくり拠点立ち上げを支援し、目指す姿に寄り添う

住友商事は、NPO法人「IKUNO・多文化ふらっと」に対する支援活動を通じて、外国ルーツの子どもたちを対象にした「ともともワークショップ」開催と、各国言語の児童書を集めた「ともとも文庫」の開設支援を行いました。

「IKUNO・多文化ふらっとの運営支援活動」とは

大阪市生野区は住民の5人に1人が外国籍で、60カ国以上の外国ルーツの人々が暮らす街。IKUNO・多文化ふらっと(以下、IKUNO)は、この生野区で、多文化共生のまちづくりを目指すNPO法人です。2020年に日本国際交流センター(JCIE)が立ち上げた「外国ルーツ青少年未来創造事業」から助成支援を受けたことを契機に、住友商事によるプロボノ支援活動がスタートしました。IKUNOとの関係性づくりから見えてきた、本当に必要とするサポートにたどり着くまでの取り組みを振り返ります。

「ともともワークショップ」での交流と「ともとも文庫」の開設

支援活動に手を挙げたのは、大阪・生野に地縁のある社員たち。IKUNOが生野区内の小学校跡地を活用して、2022年4月に開設した多文化共生まちづくりの拠点「いくのコーライブズ・パーク(以下いくのパーク)」で、ともともワークショップの開催、「ともとも文庫」の開設支援に取り組みました。

旧御幸森小学校をリノベーションして開設された、いくのパーク

自分の言葉について考える「ともともワークショップ」

IKUNOの学習サポート教室に参加している子どもたちを対象に2023年3月に開催されたともともワークショップ。「ともとも(Tomo-Tomo)」には、「とも=共に、友だち」という思いが込められています。小学4年生から高校生まで、様々な国にルーツを持つ子どもたち15人が「母語の大切さ、日本語を通じての自己研鑽、世界がひろがる言葉の取得」などをテーマに、5名の住友商事社員と話し合いました。子どもたちに、自分の言葉について振り返ったり、将来について考えたりするきっかけを提供しました。

日本語が理解できない子どもも、友だちのサポートを受けながら参加していました。
「じぶんの ことばを たいせつに。もうひとつ ことばを おぼえると せかいが ひろがるよ!」
城谷浩司(建機販売事業第二部)

自分の言葉で本が読める「ともとも文庫」

いくのパーク内の図書室「ふくろうの森」の一角が、住友商事が寄贈する多言語児童書のコーナー「ともとも文庫」に。サポートメンバーが、住友商事の海外拠点に子ども向け図書の古本の提供を依頼し、児童書を寄贈しました。いくのパークのオープン以降、「ともとも文庫」は「ふくろうの森」を訪れる様々なルーツの子どもや大人に楽しんでいただいています。

第一弾は、大阪チームよりIKUNOの森本宮仁子代表理事に寄贈しました。
海外の社員からの手書きメッセージが書かれた本も
第一弾は、大阪チームよりIKUNOの森本宮仁子代表理事に寄贈しました。
海外の社員からの手書きメッセージが書かれた本も

現場を知ることが支援推進の力に

住友商事の支援活動は、こうして子どもたちやIKUNO関係者に好評いただくことができましたが、具体的な支援が始まるまでの道のりは平坦ではありませんでした。コロナ禍のオンライン打ち合わせだけでは、IKUNOの実情も理解できず、アポも貰えず、彼らとの認識合わせがなかなか進まなかったのです。そこで、2022年8月、在阪・在京メンバー3名が意を決して現地に乗り込み、Face to Faceで率直に話し合いました。校内農園の草むしりにも飛び入り参加しました。ここから両者の信頼構築が急速に進み、活動を後押しする原動力になりました。

プロボノ活動は2023年3月で終了しましたが、「ともとも文庫」にはその後も寄贈が続いており、現在は11カ国語、約300冊が陳列されています。
今回の活動を起点に、どのような連携ができるか。今後も、住友商事はIKUNOの皆さんと一緒に、持続的な教育支援の関わり方を探っていきます。

活動に関わった社員の声:企業人だからこそできる支援を、継続的に提供したい

  • 企業と行政、NPO法人が互いを「異質なもの」と捉えるのではなく、社会貢献という同じ土俵に立って、互いに納得感を持って活動に取り組んでいくことが大切だと実感しています。私は現在中東に赴任していて、こちらの生活のレポートをIKUNOの子どもたちに発信しています。これから児童書も集めて「ともとも文庫」に寄贈していきます。小さなことでも継続していくこと、そこに価値があると思います。
  • 普段の業務の中では知り合えなかった皆さんと出会えたことが一番のやりがいです。多くの社員に100SEEDに携わることの楽しさを体験してほしいと思っています。私たちの経験を社内に伝えていきます。
  • 他者との協働による社会貢献では、成果を急ぎすぎてはいけないと実感しました。企業にいるからこそできる客観的な視点での提案、持てる強みを活かしたサポートで、これからも海外にルーツを持つ子どもたちの教育を支えていきたいと思います。
東京チーム(左から)望月 広祐(非鉄金属開発事業部)阿部 泰子(ライフスタイル事業本部)檜作 明(社会インフラ事業本部)
大阪チーム(左から)山本 邦義(住宅・都市事業部)正徳 明子(国内業務企画部)森 知彦(不動産投資開発事業部)

IKUNOの皆さんから: 現場に寄り添う姿勢から生まれた信頼の絆

初めて「いくのパーク」に来られた際に、楽しみながら草むしりに参加される姿に驚くとともに「この方たちは信頼できる」と感じました。当初は商社の方々とどのようにお付き合いしていけばいいか、戸惑うところもありましたが、考え方や発想の違いを受け止め、それぞれの強みを活かす発想を持つこと、さらにそれをコーディネートする存在が大切だと実感しています。
住友商事の皆さんがこのような形で社会に価値を還元していくことを当たり前と捉えていることに感動しました。今後は、さらに多くの若手社員の皆さんに参画いただいて社会貢献の機運を盛り上げていただければ幸いです。

IKUNO・多文化ふらっとの皆さん

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