グローバル事例

地域の皆さまの健康と豊かな生活を支えるために
─サービス拡充とDX推進に取り組むトモズ

日本

ドラッグストアに調剤機能を兼ね備えた「かかりつけ薬局」

トモズが「調剤併設型ドラッグストア」として創業したのは、今から30年近く前の1993年です。当時、薬の提供が病院から調剤薬局に移行する「医薬分業」が始まっていました。その流れをいち早く捉えて開業したのがトモズでした。医薬品や日用品の販売と調剤薬局の機能を備え、地域の皆さまの健康と豊かな生活に奉仕する「かかりつけ薬局」となる──。それが開業以来変わらないトモズの理念です。

その後首都圏を中心に出店を続けながら、新たなチャレンジも続けてきました。97年には、在日米国人向けのドラッグストアだった「アメリカンファーマシー」を買収。2012年には、ロゴをそれまでの赤色からミッドナイトブルーに変更しました。

トモズの店舗数は、22年9月現在で236店舗。うち、7割以上の179店舗が調剤の機能を備えています。

来客層の広がりを受けミッドナイトブルーにロゴの色を変更。新店舗やリニューアル店舗はすべて「青トモズ」で統一されている。あわせて、幅広いニーズに応えるべく商品のラインナップを拡張し、売り場のレイアウトも改善した

地域医療を支えるさまざまな取り組み

トモズ開業後の約30年間、日本の高齢化は世界でも類を見ない速さで進行しました。平均寿命も延び「人生100年時代」を迎えつつある日本では、健康寿命をいかに伸ばすかが社会課題となっています。その解決法の一つとして政府が推進しているのが「地域包括ケアシステム」です。

地域の医療機関や介護機関が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護の提供を目指す──。それが地域包括ケアシステムの考え方です。この社会的な取り組みの中で、薬剤師や栄養士が常駐する「かかりつけ薬局」を目指すトモズが果たすべき役割はますます大きくなっています。

地域医療に対するトモズのアプローチの一つが、17年に始めた「在宅調剤サービス」です。高齢者や寝たきり生活を送る患者の自宅をトモズのスタッフが訪問し、薬の提供と服薬指導を行うサービスで、現在は調剤実施店舗のおよそ6割で提供しています。皆さまからのご要望が非常に多いこともあり、今後提供店舗をさらに拡大していく予定です。

「医療連携」も、地域の医療の質を高める取り組みの一つです。トモズ店舗の上層階や近隣などにクリニックを誘致し、開業支援を行い、医療機関と調剤薬局の連携を実現するのがこの取り組みの狙いです。比較的新しい試みですが、多くの案件を検討しており、実際に誘致した事例もあります。

患者宅に薬を届け、服薬指導を行う「在宅調剤サービス」。多くのユーザーに利用され、リピート率の高いサービスとなっている

DXによって患者の利便性と安心・安全を向上させる

一方、業務を効率化し、店舗サービスの質の向上を目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)も着々と進んでいます。19年には、調剤オペレーションを自動化する「全自動調剤」の実証実験を始め、現在2店舗で自動化を実現しています。

7種類計9台の機械を店舗に導入し、これまで薬剤師が行ってきた医薬品の秤量、混合、分割、収集といった業務のおよそ9割を機械化するのが「全自動調剤」です。これによって業務が効率化し、お客さまの待ち時間が短縮されます。また、「ミスをしてはいけない」という薬剤師の心理的プレッシャーが軽減されることから、従業員満足度の向上にもつながっています。何よりも、薬剤師の業務が軽減されることで、お客さまとのコミュニケーションに十分な時間を費やすことができるのが最大の効果です。

全自動調剤の導入は、社会的にも大きな注目を集め、医療関係者の視察なども相次いでいます。ほかにも、トモズアプリの導入、LINEによる処方箋受付、オンライン服薬指導、ECサイトの拡張など、トモズのDXへの取り組みは多岐にわたっています。今後、調剤業界全体のDXが進み、患者さまの利便性と安心・安全がいっそう向上することを私たちは願っています。

自動調剤機械の一つ、粉末調合機。機械が必要量を量り取り、他の粉末と混ぜて、1回ずつの服用量に分けた状態に仕上げてくれる。本格的な調剤自動化は国内初

サミットストアとの連携で健康支援を拡充する

トモズは調剤だけではなく、医薬品や化粧品、日用品などの販売にも力を入れています。メーカーとの連携によるサンプル提供や、トモズアプリでのクーポン提供など、メーカーとお客さまをつなぐ小売店としての役割を果たすためのさまざまな取り組みを行っています。

最近では、住友商事グループの食品スーパーマーケット「サミット」との連携も進んでいます。お客さまが店頭の健康計測器で健康状態をチェックし、常駐しているトモズの管理栄養士から栄養指導を受けられる「健康コミュニティコーナー」、通称「けんコミ」サービスを提供しています。2021年3月のサミットストア鳩ケ谷駅前店でのオープンを皮切りに、現在4店舗で展開中です。健康相談や健康レシピの紹介を通じて、地域に生活するお客様の豊かな暮らしの一端を担える存在を目指します。

今後も、トモズとサミットの共同出店を進め、一店舗の中で栄養アドバイスを受け、食材の購入までができる「ワンストップ型の健康支援店舗」を増やしていきたいと考えています。

「けんコミ」の店頭実証実験の様子
管理栄養士が常駐し、お客さまの健康相談に丁寧に対応

専門的スキルと思いやりの心を両輪として

「かかりつけ薬局」に求められるのは、患者さま、お客さまとの丁寧できめ細やかなコミュニケーションであり、それを実現するのは「人」の力です。トモズは、働く人に求める要素を「明るく、素直で、謙虚で、思いやりのある人材」と定義しています。中でも特に重視しているのが「思いやり」です。

薬剤師や管理栄養士には専門的なスキルが必要であり、物販スタッフにも登録販売者の資格が求められます。しかし、専門性だけでは、お客さまに本当に必要とされる店舗を実現することはできません。専門的なスキルを身に付けた上で、思いやりをもって一人一人のお客さまに向かい合うことで、「この人に会いたいからトモズに行く」と言っていただけるような信頼関係を築くこと──。それが私たちの目標です。

今後、日本はますます高齢化が進み、地域医療の重要性が高まっていきます。地域の人々の健康で豊かな生活の実現をサポートし、最も信頼される「かかりつけ薬局」になることを目指して、トモズはこれからも新しい挑戦を続けていきます。


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2023年04月掲載

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