2022年09月09日

福島県浪江町駅周辺グランドデザイン基本計画を公表~木材や水素を活用した持続可能なまちづくり~

住友商事は2022年6月、福島県浪江町、隈研吾建築都市設計事務所、伊東順二事務所(以下総称して「4者」)とともに、「浪江駅周辺整備計画」における駅周辺グランドデザイン基本計画を公表しました。

浪江町は、2011年に発生した東日本大震災および原子力発電所の事故により、甚大な被害を受けました。帰還者や移住者を増やし復興を加速させるため、2021年3月に「浪江駅周辺整備計画」を定め、新たな産業や雇用の創出、地域コミュニティ活動の推進など、持続可能で住みよい環境整備を進めています。

4者は2021年9月、「デザインの力による浪江町の復興まちづくりに関する連携協定」を締結し、「浪江駅周辺整備計画」をはじめとする多様な取り組みを推進しています。今般、公表した駅周辺グランドデザイン基本計画では、木材の利活用やその土地の環境文化に溶け込む建築が特徴的な世界的建築家の隈研吾氏、アート・プロデューサーであり東京藝術大学・特任教授の伊東順二氏、多様なネットワークと再生可能エネルギーなどの知見を有する当社のノウハウを掛け合わせ、町内で製造・研究が進む木材や水素、再生可能エネルギーを環境に調和させた「新しいが、懐かしさ・暖かさを感じさせるまち」の姿を描いています。駅前広場から商業施設、住宅まで一体感のあるまちづくりを進め、浪江町が復興の理念に掲げる「夢と希望があふれ 住んでいたいまち 住んでみたいまち」の実現に向けて取り組んでいきます。

グランドデザインの詳細は、こちら(PDF/11.4MB)をご覧ください。

人とまちのつながりを生み出す「なみえルーフ」。駅から商業施設まで、ひと続きにつながるアップダウンのあるダイナミックな大屋根が町ににぎわいを生み出します
エネルギーを使う町から、作り・集め・つなぐ町へ。運営に必要な電力を100パーセント再生可能エネルギーで補うRE100のライフスタイルを発信するまちづくりを進めていきます

4者連携に至った裏話

~当社の強み「さまざまな分野のパートナーとの信頼関係と総合力」を生かした貢献を~

舟橋

舟橋 采里

22年6月より新事業投資部にてエコシステムデザインを担当。主に、浪江町などの地域社会におけるイノベーションを創出する「仕組み・場づくり」に取り組む。


浪江町は、古くから良質な木材の産地であるとともに、世界最大級のグリーン水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」がある町として知られています。当社は、木材や水素、再生可能エネルギーを環境と調和させた浪江ならではの新しいまちづくりを目指したいとの町の意向を受け、木材の利活用やその土地の環境文化に溶け込む建築に定評のある世界的建築家の隈研吾氏、アート・プロデューサーであり東京藝術大学・特任教授の伊東順二氏に協力を依頼。浪江町の真摯な姿勢に感銘を受けた両氏からの快諾をいただき、浪江町も含めた4者の連携協定を締結、グランドデザイン基本計画の策定を協働し、今も連携を深めています。

両氏と当社は、浪江町に関わる全ての方々が周囲に自慢したくなる「世界に誇れる浪江らしさのデザイン」、持続可能な地域社会の実現に向けた「事業の共創を通じた浪江の賑わいの創出」、そして、「伝統文化や工芸振興で地域への愛着を育むこと」を目指しています。

なかでも運営に必要な電力を100パーセント再生可能エネルギーで補うRE100のデザインは、当社の事業パートナーである水素・再生可能エネルギー領域の第一人者の方、太陽光発電のトップメーカー、スタートアップなど、多くの皆さまにご協力をいただきました。技術的な検討のみならず、住まう方々が自慢したくなるデザインについて、垣根を越えて語り合うことで、計画作りを進めてきました。

また、ソフト面では、「仕組み・場・人」を創るノウハウを掛け合わせ、新たなチャレンジの場やイノベーションを創出するまちづくりを目指し、あらゆる分野のパートナーと共に、支援事業に取り組んでいます。具体的には、地域課題の解決にチャレンジする起業家や地場企業を町全体で支援する「仕組みづくり」や、社会課題の解決をリードするスタートアップの成長を支援する「仕組みづくり」、それらの仕組みを通じた「人づくり」、これらの活動の世界への発信などを検討しています。なお、数年後に予定される本計画の「交流施設」に先駆け、今年下期に、イノベーションを生み出す「場」を駅前に先行開業する方向で準備を進めています。

私は、こうした取り組みに貢献したいと考え、社内で異動希望を出し、現在の業務に取り組んでいます。ここ浪江町で、本計画のステークホルダーの皆さまと共に、持続可能な地域社会・経済への発展と、新たな価値を創造するエコシステムのデザインにチャレンジしていきたいと思います。

浪江町との出会いに関する裏話

~浪江町の目指す方向を共に考え、現場で一緒に推進していく~

舟橋

澤村 なつみ

化学品営業部にて、海外事業会社の管理業務および関連トレードへ従事した後、水素事業部に配属。21年5月、福島県浪江町に駐在員として赴任。


浪江町と当社を結びつけたきっかけは、地球の裏側、チリ・パタゴニアの現地ツアーでの、当社のチリ駐在員と浪江町役場の担当者との出会いでした。

浪江町では震災後、NEDO(※)実証施設の「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」が設立され、グリーン水素製造設備が稼働しています。浪江町の担当者から、水素を活用した未来のまちづくりの考えを知ったチリ駐在員は、当社との連携の可能性について本社に相談。2015年から進めていた水素関連ビジネスの知見・ノウハウを生かして、町への貢献のあり方を探っていきました。

  • NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

浪江町は、2020年にゼロカーボンシティを宣言し、水素をはじめとする再生可能エネルギーの地産地消を復興の柱の一つに掲げています。町の震災復興・まちづくりに参画することは、当社が推進するサステナビリティ経営の高度化の一環に沿った取り組みであり、カーボンニュートラル社会の実現に向けた方向性と合致しています。ただし、一方的な想いや考えの押しつけでは、地域に根差した取り組みにはなりません。まずはインタビューやワークショップを重ね、住民の皆さんが描く浪江町の未来の姿や、再生可能エネルギーや水素に対する考えをお聞きすることから始めました。そうした地道な取り組みが地域の方々の共感に繋がり、2021年1月、浪江町と「水素の利活用および街づくりに関する連携協定書」を締結しました。

現在は、「世界が真似したくなるエネルギーシフトを、浪江町から」というコンセプトのもと、マルチ水素ステーション設置に関する事業化調査や、JR浪江駅前の再生エネルギーを活用した再整備事業、地域の方々への水素普及啓発イベントの実施などに取り組んでいます。

浪江町に駐在して1年強が経ちましたが、新しい人や価値観との出会いも多く充実した毎日を過ごしています。私は駐在員として派遣されている立場でありながら、浪江町民でもあるので、両方の視点から「より良い町にしていくためにどうすればよいか?」を考えることが大切だと思っています。今後は、現地で構築してきたネットワークを活用して、地域の皆さんや、浪江町役場、浪江に関わっている企業の方々と一緒になって、具体的な活動をつくっていきたいと思います。



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