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グローバル事例

バイオ・医薬品産業の発展を加速させる、SPIのビジネス

広報パーソン探訪記

報道チーム深田 麻衣

金属事業部門、メディア・ICT事業部門の報道対応と事業紹介動画を担当。SPIを含む資源・化学品事業部門ライフサイエンス本部を2018年6月まで担当していたが、担当替えに伴い今回の執筆をもって卒業。高校時代、教科書にベンゼン環が登場したタイミングで化学に挫折し、進路は文系を選択。

住商ファーマインターナショナル(SPI)は、住友商事グループが手掛けるメディカルサイエンス事業の中核会社として、医薬品および化粧品関連ビジネスを行っている。医薬品分野では創薬研究から医薬品の生産までを一貫してサポートする体制を整え、化粧品分野では素材の調達や、商品の企画提案や受託製造を担う。2018年7月上旬、SPIが保有する2つのラボ、原薬分析センターと横浜サポートセンターを訪問した。

医薬品の安全を支える原薬分析センター

かながわサイエンスパーク(川崎市高津区)にSPIの原薬分析センターが入居している。同社の医薬事業本部は、原薬や中間体などの医薬品原料を国内外の製造会社から調達し、顧客である製薬会社などへ販売している。原薬分析センターの主な役割は、保有する30種類以上の分析機器を活用し、調達した医薬品原料が顧客の求める品質規格を満たしているか、納品する前に検査することだ。

医薬品業界にはGMP(Good Manufacturing Practice)という基準が存在する。GMPとは医薬品が安全かつ均一の品質に保たれるように制定されたもので、製造業者が保つべき製造現場の環境や製品の管理方法、出荷に際し実施する品質試験の手法などが定められている。

原薬分析センターでは、所属する8人の職員で、年間600ロット以上の品質試験を行う

原薬分析センターは実験室と機器室の2つのエリアに分かれている。実験室にはビーカーやフラスコ、薬剤の入った瓶が並び、機器室には物質の結晶の形や純度を計測する機械や電子顕微鏡などが設置されている。判定を行う原薬はGMP基準に従って試験され、品質に問題ないことを確認されるが、原薬の安全性は服用者の命に関わる。「万が一」がないよう徹底することは、医薬品事業に携わる企業としての責任なのだと感じた。

なお、原薬分析センターは、製造事業者へ検査結果のフィードバックや改善提案を行うことで、製品の品質向上にも貢献している。また、SPIの営業担当職員向け実習なども実施し、社内の専門性を高める役割も担っている。

実験室と機器室は温度が一定に保たれている

最先端のバイオ研究を支える横浜サポートセンター

製薬企業や大学といった医薬品研究機関である顧客に対して、装置のデモンストレーションや納品前作業、また販売後の修理や問い合わせ対応など、顧客向けサポート全般を行っているのが横浜サポートセンター(横浜市鶴見区)だ。

SPIは特に生体イメージング機器の取り扱いに強みがある。生体イメージングとは、動物の体を傷つけることなく体内を可視化する技術のことであり、CTやMRI、レントゲンを想像すると分かりやすい。生体イメージング機器を活用することで、同一個体内の細胞やウイルスなどの経過観察が長期間にわたり可能になり、実験対象となる個体数を減らせるメリットがある。今回はCTイメージング装置であるコスモスキャン(CosmoScan)と、光イメージング装置のアイビスイメージングシステム(IVIS)のデモンストレーションを見学した。

CosmoScanの全体像。横浜サポートセンターでは、実機でのデモンストレーションも行いながら営業活動に生かす

CosmoScanは、マウスやラットといった実験動物の体内を透過したX線の量を測定し、骨や脂肪、臓器の様子をCT画像として表示する機械である。撮影にかかる時間が最速3.9秒と短く、高画質かつ高解像度の画像が撮影できる点が特長であり、骨粗しょう症やメタボリックシンドロームなどの研究で使用されている。今回は動物ではなく冷凍メザシでデモンストレーションを実施した。開始してほどなく、メザシの骨格がモニターにくっきりと映し出され、見学者からは驚きの声が上がった。

IVISは、肉眼では見えない微弱な発光や蛍光を超高感度カメラで捉え、光の量を定量化して画像として表示する機械である。動物の細胞にホタル由来のタンパク質などを導入し、体内での増殖の経過などをモニタリングする。主にがん研究や再生医療研究の現場で使用されており、SPIはIVIS光イメージング装置の日本国内導入実績1位を誇る。

IVISによる表示画面。今回はラットの模型でデモンストレーションを行った

バイオ・医薬品産業の発展を担う

一つの薬が開発され、製品として私たちの手に届くまでには、一般的に10年以上の期間と数百億円の費用がかかるといわれている。医療の発展には想像以上に長い年月と費用が必要であり、多くの人が携わり、そしてそれぞれに努力や想いがあるのだ。

SPIは世界中から最新技術や将来有望な技術を発掘し、日本の製薬会社や研究機関などに紹介している。取り扱う範囲は医薬品の原料から研究を支える実験機器や分析機器まで多岐にわたる。世界中の優れた技術を、高い技術力を誇る日本の企業や研究機関に導入することは、事業サポートにとどまらず、医療の発展に貢献する可能性も有しているといえるだろう。SPIの取り組むビジネスは、人々の健康や医療の進歩を、私たちの目には見えない部分から支えているのだ。

「短期的に利益になるビジネスはもちろん大切。一方で、医療の進歩や人類の発展に貢献する技術を模索して育てていくことも必要であり、大きな意義がある」と語るのは、小関さゆり横浜サポートセンター長。この言葉に、SPIで事業に取り組む彼らの誇りと、使命感を見た。

筆者のテンションが最も上がったメザシの解析画像

2018年08月掲載

キーワード

  • 資源・化学品事業
  • 日本
  • 化学品

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