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グローバル事例

インドネシアの電力供給を支える地熱発電

インドネシア

気象の影響を受けにくい再生可能エネルギー

再生可能エネルギーを利用した発電方法の一つである地熱発電。基本的な仕組みは、火山の地下などにあるマグマの熱によって温められた地下水の蒸気でタービンを回し、発電を行うというシンプルなものです。化石燃料を必要としないため環境負荷が低く、電力価格が燃料市況に左右されないこと、太陽光や風力など気象の影響を受けやすい他の再生可能エネルギーと比べて、安定した電力が得られることなどが地熱発電の大きな特徴です。

一方で、地熱発電は発電に利用できる十分な蒸気が得られるかどうか、地中深く井戸の掘削を進めなければ、はっきりとは分からないというリスクを伴っており、2,000~3,000メートルの井戸を掘り進めたのちに、十分な蒸気が得られないことが分かり、発電プロジェクトが頓挫してしまうこともあります。地表からの調査ノウハウ、掘削開発の資金、時間、さらには多少の運を必要とするのが地熱発電事業なのです。

ウルブル生産井からの集蒸気配管(左はウルブル発電所、右はラヘンドン発電所)

世界第2位の「地熱大国」インドネシア

住友商事が、世界第2位の地熱資源を有するインドネシアで地熱発電への取り組みを開始したのは、1995年のことでした。発電インフラのビジネスモデルは、大きく「EPC」と「IPP」の二つに分けられます。EPCとは、発電所の設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を受託する建設工事請負のことです。EPCでは、通常完成した施設を現地政府や企業に納入した時点で完了します。IPPは独立系発電業者(Independent Power Producer)を意味し、事業者は発電施設のオーナーとなって継続的に売電を行います。

住友商事は、97年にインドネシアにおける地熱発電所のEPC案件を受注し、今日まで計11の案件に関わってきました。これは、同国における地熱発電所の約半数を占める数であり、日本の総合商社ではトップの実績です。

当社が多くの受注を得られている要因の一つに、パートナーシップの力があります。当社は地熱発電所用蒸気タービン製造の最大手である富士電機との協業に加えて、土木・据え付け工事や現地調達を担当するインドネシアのレカヤサの協力を受けて、数々の地熱EPC案件を成功させてきました。当社が近年手掛けた代表的なEPCには、スラウェシ島北部のラヘンドン地熱発電所、スマトラ島南部のウルブル地熱発電所などがあります。

地熱発電所の多くは、山奥の未開の地。ウルブル発電所があるスマトラ島では、スマトラタイガーと遭遇する恐怖とも戦った(左はウルブル発電所、右はラヘンドン発電所)

粘り強く進めたIPPプロジェクト

インドネシア初となる当社の地熱IPPプロジェクトは、2011年にスタートしたスマトラ島西部のムアララボ地熱発電事業です。

地熱発電所の建設は、一般に火山近くの未開の地で、手つかずの山地を切り拓くところから実際の開発はスタートします。とりわけムアララボは、最も近い空港から陸路で4~5時間を要する極めてアクセスの悪い場所です。12年3月、当社がパートナーと共に出資する現地事業会社はインドネシア国営電力会社と30年間の長期売電契約を締結し、インドネシア財務省からの政府保証を得たのち、現地で試掘開発に着手しました。

しかし、試掘の結果、当初見通しより発電規模を縮小せざるを得ない事態となり、政府および国営電力会社との再交渉を行いました。再交渉の妥結には2年弱を要しましたが、政府・国営電力会社・事業者がお互いに納得できる内容で合意することができ、その後発電所建設のファイナンス組成に取り組みました。最初の長期売電契約から5年後の17年3月にようやくファイナンスクローズを達成し、19年10月の運転開始に向けて着々と工事を進めています。

インドネシアにおいて日本企業が最も初期の段階から海外地熱鉱区を開発した前例はなく、インドネシア国内の制度が未整備な中で続いた長期交渉でしたが、次のプロジェクトにつながる土台となりました。現在、同じスマトラ島における次の地熱IPPプロジェクト、ラジャバサ地熱発電事業が進行しています。

ムアララボ発電所の生産井掘削現場と全景

2025年までに地熱発電容量を4倍に

世界第4位の2億5,000万人を超える人口を擁し、年率5パーセント前後の経済成長を続けているインドネシアでは、電力インフラ整備が国家的な課題となっています。同国内にある1万3,000以上の島の中には、いまだに電気が利用できない地域もあります。豊富な地熱資源の活用でその課題を解決すべく、同国政府は、現在の1,800メガワットの地熱発電容量を、2025年までに7,200メガワットに増やす計画を立てています。当社には、過去20数年間に及ぶ地熱発電事業の経験を生かし、計画の実現に寄与していくことが期待されています。

当社は、地熱発電事業特有のリスクも体験してきました。政府系機関、金融機関などと連携してリスクを分散しながら、インドネシアの地熱発電の発展に寄与していきます。

現場では良好なコミュニケーションが非常に大切。地元民との交流や現地での雇用にも力を入れている

2018年05月掲載

キーワード

  • インフラ事業
  • アジア・大洋州
  • 電力・エネルギー
  • 環境

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