グローバル事例
米国における不動産投資を拡大
米国
1980年代初頭にスタートしたオフィスビル事業
住友商事の米国におけるオフィスビル運営事業の歴史は長く、1982年にニューヨーク市マンハッタンのオフィスビル取得をスタートに、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ワシントンDC、フェニックス、シカゴ、マイアミ、アトランタなどの都市で約37年間にわたりオフィスビルの売買、保有・賃貸運営を行ってきました。また、2000年代前半以降、過去の運営事業で培ったノウハウを生かし、ビル共用部のリニューアルやテナントの入れ替えなどによるバリューアップを図る案件にも取り組んできました。
現在は、2017年6月および18年7月に組成した私募ファンドに組み入れた物件を含め、シカゴ、マイアミ、サンディエゴ、アトランタ、ミネアポリス、フェニックスにあるオフィスビルでポートフォリオを構築しています。
ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルス、サンフランシスコといった日本でもなじみのある大都市のほか、米国における当社独自のネットワークを活用し、オフィスマーケット動向を分析した上で選出した有望な都市への投資を行う戦略を取っています。
米国不動産事業の4本の柱
米国不動産ビジネスの1つ目の柱であるオフィスビル事業に続き着手したのが、2つ目の柱となる賃貸住宅事業です。現地のローカルデベロッパーをパートナーに迎え、土地購入から開発・賃貸・物件売却まで3年程度の事業モデルとなっています。これまで約20件のプロジェクトを手掛けてきました。
住宅事業もオフィス事業同様に、米国内の人的ネットワーク、さまざまな統計データを基に注力エリアを選定しています。今後の成長が見込める地域を見極めた上で、現地スタッフと駐在員が協力しながら各地をフィールド調査し、短期的な投資と回収を積極的に繰り返していく、これが賃貸住宅事業の特徴です。
90年代には、3つ目の柱である宅地造成事業をスタートしました。広大な土地を取得して宅地を造成、区画ごとに住宅建設事業者に販売していく事業モデルです。これまで、アトランタとヒューストンで5つの案件を手掛け、現在販売中のタウンレイク(ヒューストン)は、東京都中央区とほぼ同じ広さの2,400エーカーに及ぶ大型宅地造成で、街の中心に湖をたたえた風光明媚(めいび)なニュータウンです。また、同じくヒューストンにて、新たに約1,944エーカーの開発用地を取得し、住宅地、学校や商業用地を造成し、区画ごとに住宅建設事業者および商業開発業者に販売していく予定です。
2017年にスタートした私募ファンド事業が、4つ目の柱です。米国不動産投資への投資ニーズが強い国内機関投資家に対し、住友商事グループのオフィスビル事業の知見・ノウハウを活用、最適なソリューションと優良な投資機会を提供すべく、17年6月より第1号の運用を開始しました。これにより、他社の資金を預かり不動産投資を行う新しいモデルが加わりました。18年7月には、第2号の運用を開始し、今後も私募ファンドを継続的に立ち上げる計画です。
グローバルな視野と地域に根差した専門性
米国の不動産業界は、土地収用、建設、建物運営、リーシングなど、開発・運営のプロセスを各分野のプロフェッショナルが個別に担うスタイルが一般的です。それに対し、住友商事は開発から運営まで一貫してマネージメントするビジネススタイルで、不動産の価値向上を目指しています。街や土地の魅力を最大限に尊重し、幅広い視野をもって事業を進めていく。それを端的に表現した当社の米国不動産事業のキャッチコピーが「Global Perspective, Local Expertise(グローバルな視野と地域に根差した専門性)」です。
当社は、国内不動産事業を主軸としながらも、今後の本格的な人口減少も見据え、米国を含めた世界各地での不動産事業を積極的に展開していく考えです。
不動産事業は住友商事のルーツでもあります。米国においても、住友の事業精神にあるように「信用を重んじ確実を旨とし」て、開発を進めていきます。
2020年04月掲載
キーワード
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