グローバル事例
テナントや顧客とともに
施設の価値を高めていく
―商業施設事業―
日本
開発コンセプト策定から施設運営まで
住友商事の不動産ビジネスは、オフィスビル事業やマンション事業など、5つの事業に分かれています。そのうち、全国のショッピングセンター事業などを手掛けているのが商業施設事業です。施設の開発コンセプト策定から始まり、用地買収、施設建設、テナントリーシング、施設運営までをトータルに、グループ会社の住商アーバン開発とともに一気通貫で行うのが大きな特徴です。首都圏と関西圏を中心として、仙台や福岡などでもさまざまな商業施設を開発し、運営してきました。
商業施設事業のビジネスモデルは、大きく二つに分けられます。一つは、地域の特性に合わせて施設を開発し運営する「地域メイド型商業施設」です。施設が立地する場所の人口構成、人々のライフスタイルや消費動向などを踏まえながら、家庭でも職場でもない「サードプレイス」となる場所を創出していくのがこのモデルのコンセプトです。
代表的な施設が、「テラスモール湘南」(神奈川県藤沢市、2011年11月オープン)と「テラスモール松戸」(千葉県松戸市、2019年10月オープン)です。老若男女が買い物や飲食だけでなく、そこで過ごすこと自体を楽しむことができる、そのような場所になるよう施設運営を続けています。「セルバ」「セルバテラス」(宮城県仙台市)、「グランエミオ所沢」(埼玉県所沢市)、「ミウィ橋本」(神奈川県相模原市)、「御影クラッセ」(兵庫県神戸市)など、各地のエリア特性に合わせた施設を開発・運営しています。
もう一つのモデルが「都市型商業施設」です。全国の繁華性の高い都心の一等地に施設を建設し、国内だけでなく海外からの観光客にも利用してもらえる空間づくりを目指しています。都心型商業施設を代表するのが、2017年4月にオープンした東京・銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX」(東京都中央区)です。有名ブランドを含む240を超えるテナントを擁し、商業施設のほか多目的ホールやオフィス、能楽堂までを備えた複合施設で、オープン以来、国内外問わず多くのお客さまに利用いただいています。今後は東京や大阪を中心に、このモデルの商業施設を増やしていく計画です。
地域の人々に愛されるテナントを
商業施設ビジネスでは、住友商事の総合力がさまざまな面で生かされています。商業施設の日々の運営業務については、住商アーバン開発が中心となって行っています。また、ドラッグストアの「トモズ」や、スーパーマーケットチェーンの「サミット」といったグループの小売店舗がテナントとして入居するケースも少なくありません。さらに、施設の建設を行う場合には、建設資材を手掛ける各グループ会社が資材調達に力を発揮します。
テナントのラインナップによって商業施設の価値は大きく変わります。地域の人々に必要とされ、愛される店舗を誘致することが施設運営会社の重要な役割です。住友商事と住商アーバン開発は、これまでの商業施設運営の経験により、2,000社を超える小売企業とネットワークを築いてきました。その中から、地域や施設特性に応じて最適なテナントに出店していただくことで、施設の魅力を上げることが何よりも大切だと考えています。
リアルな施設ならではの体験を提供したい
現在も、各地で新しい施設の計画が進んでいます。しかし、施設の数が必ずしもこのビジネスの成功の指標ではありません。地域住民にとって利便性の高い場所に施設を建設し、テナントやお客さまとの日々のコミュニケーションを通じて施設の価値を長期的に向上させる。そんな地に足の着いた施設運営を住友商事は常に目指しています。
インターネットでショッピングをする機会が増えている時代に、商業施設は施設ならではのリアルな体験をお客さまに提供していかなければなりません。その場所で過ごすことが本当に楽しいと感じられる、家族や仲間と豊かな時間を過ごせる、欲しいものや新しい初めてのものをじかに手に取れる、このような体験ができる施設をつくっていくことが私たちの使命です。AI(人工知能)やVR(仮想現実)といった最新のデジタルテクノロジーを使い、これまでになかった新しい体験を提供する試みにも積極的にチャレンジしていきます。
再生可能エネルギーによって電力を供給し、人々が電気自動車で街中を移動するスマートシティがいよいよ現実するといわれています。魅力ある商業施設はスマートシティの中心的な役割を担うことができると考えています。住友商事グループの仲間たちと、さらに幅広いビジネスパートナーの皆さんと力を合わせて、価値ある商業施設の開発と運営に取り組んでいきます。
2023年04月掲載
キーワード
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