2023年10月03日

バイオエタノールの対日輸入強化に向けた韓国アルコールグループとの合意~「グリーンケミカル」・「グリーン燃料」分野での循環経済の確立に向けて~

住友商事は、韓国の化学品・アルコール製造およびトレーディング会社である韓国アルコールグループ KC&A社(以下「KC&A」)と、バイオエタノールの日本市場開拓に向けて基本合意書を締結しました。脱炭素化社会の実現に向けて急速に需要が拡大する、プラスチックや燃料などの植物由来原料となるバイオエタノールの日本国内での用途拡大および安定供給に向けて共同で取り組みます。

バイオエタノールは、米国・ブラジルを中心に約1.2億KLが主にガソリン混合用途として生産・消費されていますが、昨今では再生可能エネルギーとして、また環境負荷の少ないバイオプラスチックなどの化学品やSAF(※1)などのグリーン燃料の原料として、カーボンニュートラル社会を目指す世界各国から注目されており、市場規模は、2030年には約1,300億米ドル規模に達し、予測期間(22年~30年)には年平均6.26%の成長が見込まれています。

KC&Aは、アジア最大のバイオエタノールトレーダーです。現状、バイオエタノールの生産は、米国とブラジルで全世界の約8割を占めていますが、KC&Aでは、韓国蔚山に40基、合計約11万KLのタンク能力を有し、アジア各国の自動車燃料業界、飲料・工業市場向けに米国産およびブラジル産のバイオエタノールを供給しています。

住友商事は、化学品業界の脱炭素化に向け、2023年4月に設立したグリーンケミカル開発部を中心にさまざまな事業に取り組んでいます。中でも、バイオエタノールをグリーン化の要と位置づけ、その用途拡大とサプライチェーンの再構築に注力しています。KC&Aとの協業では、住友商事がマーケティング機能を担い、石油由来プラスチックの代替としてのバイオマスプラスチックや、SAFなどの低環境負荷型代替エネルギーとしての新規用途開拓を行います。30年には新規需要によりバイオエタノールの国内需要が2倍以上となる状況を見込んでおり、低CI(Carbon Intensity)(※2)のバイオエタノールの調達先確保に共同であたる他、貯蔵用タンクなどインフラへのKC&Aとの共同投資も視野に入れています。既に発表のとおり、住友商事グループでは、第二世代エタノール(※3)の商用生産に向けた取り組みも推進していますが、今回の協業を通じ、第一世代エタノール(※4)の普及推進も同時に進めることで、より一層、化学品業界のカーボンニュートラル化に多種多様な選択肢を提供します。

住友商事は、社会とともに持続的に成長するためのサステナビリティ経営を推進するにあたり、取り組むべき6つの重要社会課題を定め、その1つに「循環経済」を設定しています。これは、リサイクル、省資源型の技術・商品への転換や、天然資源の持続可能な調達に取り組むことで、資源循環型社会の実現に貢献するものです。全ての産業を支える化学素材において、循環経済に寄与するサプライチェーンを構築することで、地球環境と共生した成長を実現します。

「住友商事グループの重要社会課題」についてはこちら
  1. SAF:Sustainable Aviation Fuelの略語。持続可能な航空燃料。生産・収集から、製造、燃焼までのライフサイクルでCO2排出量を従来燃料より大幅に削減し、既存のインフラをそのまま活用できる持続可能な航空燃料のこと。
  2. CI(Carbon Intensity):バイオエタノールのライフサイクル(生産・輸送・消費)全体のエネルギー量に対するCO2排出量を指す。
  3. 第二世代エタノール:食料と競合しない非可食用のバイオマスを原料とするエタノール。
  4. 第一世代エタノール:砂糖やでんぷん、植物油などのバイオマスの可食部を原料として製造されたバイオエタノール。


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