グローバル事例

グローバルビジネスを支える物流事業と保険事業

グローバル

国と国、人と人とをつなぐ事業

国内で生産する製品を海外に輸出し、海外から資源や食料などを輸入する。そのような貿易事業が、総合商社の元来のビジネスでした。貿易には常に国内外の物流が必要となります。グループ内の物流を担い、安全かつ確実に物資を運ぶことを目的にスタートしたのが、住友商事の物流事業です。

主に国際物流事業を展開するスミトランス・ジャパン、住友商事グループの輸出入通関・各種輸送を手配する住商ロジスティクス、国内物流や物流センター事業を展開するオールトランスの3事業会社を統合し2006年に設立したのが、住商グローバル・ロジスティクス(SGL)です。15年には、米国、欧州、タイ、中国、インドネシアの住友商事系物流事業会社が加わり、文字通りグローバルなSGLグループが誕生しました。

SGLには大きく2つの役割があります。1つは、住友商事グループのビジネスを物流面から支え、成長させていくこと、もう1つは、物流事業のノウハウをグループ外に広く提供していくことです。国内外のロジスティックサービス、物流センター、物流機器などによって企業と企業をつなぎ、地域と地域をつなぎ、国と国をつなぎ、人と人とをつなぐ。それが、SGLの果たす社会的役割です。

当社の不動産事業が手掛けたSOSiLa習志野茜浜Ⅲに入居する茜浜第三センターでは、BCP(※)対策として、停電時72時間対応の非常用発電機を実装。断水時に備えたマンホールトイレを完備している

※ BCP (Business Continuity Plan):災害時などに業務を中断させないための計画

日本全国に14の物流センターを運営するSGL

SGLは日本全国に14カ所(合計33万平方メートル)の物流センターを展開しています。主要拠点は千葉県西部で、茜浜、東習志野、舞浜、浦安など6カ所(合計17万平方メートル)のセンターを運営しています。

旗艦センターに位置付けられるのが、11万平方メートルに及ぶ規模を誇る茜浜センターで、市場拡大が著しい通販関連の商品を中心にセンター内業務を自社で運営しています。同センターでは、住友商事グループのテレビ通販事業会社ジュピターショップチャンネルをはじめ、グループ内外のお客さまと信頼関係を築きながら、日々入れ替わる数十万種類にも及ぶ膨大なアイテムの入出荷・返品・検品・流通加工などを適切に管理。正確かつ迅速に消費者の元に届けるノウハウを、20年にわたって蓄積してきました。また、出荷件数は月に約110万件にも及び、日本有数の規模となっています。

東習志野センターは、同じく当社グループのケーブルテレビ、インターネット事業者であるジュピターテレコム(2021年7月よりJCOMへ社名変更)の端末・資材の入出荷・回収、リハービッシュ(再生処理)、配送などを手掛けています。

製品受入から出荷までをコンピュータで一元管理する、茜浜第一センターの自動倉庫

2017年からは、自動倉庫を導入し、庫内生産性と保管効率を向上させるとともにサプライチェーンコントロールオフィスが、全国の工事会社や、機器メーカーとの高度な連携を図るなど常に荷主目線で業務効率化を推進しています。

東京都心に近い浦安センターは、冷凍・冷蔵食品に特化した物流センターです。24時間365日、休むことなく食品を最適に管理し、百貨店・食品スーパー、消費者向けにタイムリーな入出荷を実現しています。

17年には、通販老舗企業である千趣会の物流子会社であるベルメゾンロジスコに出資し、中部(岐阜県)に位置する大規模物流センターの運営に参画しました。過去20年間にわたるセンター運営のノウハウとアライアンス力が、新たな地域でも発揮されています。

また20年にはEC事業者向けの物流業務を仲介するプラットフォーマーであるオープン・ロジに出資し、中規模EC物流分野における新たな収益機会の開拓にも取り組んでいます。

SGLが展開する物流センターのキーワードは、「ヒューマン(人)」「テクノロジー(技術)」「アライアンス(連携)」です。具体的には、(1)従業員の高い業務スキルやノウハウ (2)IoT・RPA(ロボットによる自動化)などの最新のテクノロジーを駆使した自動化・効率化、そして (3)ビジネスパートナー(クライアント企業をはじめ宅配・配送事業者、エンジニアリング会社、IT・機器ベンダー、工事会社、決済企業、物流・不動産会社、包装・資材会社など)との連携です。これら3つの要素の融合によって、SGLは、常に進化しながら安全・安心で正確な物流サービスを提供しています。

物流容器・機材サービス~あらゆる産業を支える「縁の下の力持ち」

SGLでは食品、化粧品業界を中心とする液体商品の輸送保管容器、関連する資機材を提供しています。液体運搬用コンテナ「マキシコン」や「gドラム」をレンタル方式で日本全国どこでも提供できる体制を整え、商品の特性に対応した容器と資機材を完備し、お客さまの生産ラインに直結するサービスを提供しています。

レンタル方式の利点は、お客さまが必要な時に必要な数だけ調達できるため、容器に対する投資を最適化できるところにあります。また、容器は繰り返し利用することが可能で、従来より、省資源・輸送効率向上(CO2削減)といった環境負荷低減に貢献してきました。今後の課題は、コンテナの中に設置されているポリエチレンを主原料とする内袋の使用後の廃棄処理です。現在、植物由来樹脂を採用し、バイオマスマーク(※)の認証を受けた内袋の開発に取り組むなど、サプライチェーン全体で循環型社会の実現を目指します。本事業は20年以上の基盤と実績を積み上げており、1,000社を超えるお客さまと取引をしています。

また、物流パレットの洗浄、配送事業にも取り組んでいます。物流パレットはあらゆる産業を支える必要不可欠な物流機材です。SGLは専用の洗浄機材を備えた拠点を設け、パレットレンタル事業者に対して、パレットの洗浄、汚破損の検査、使用前後の輸送、在庫管理など幅広い機能を提供しています。目立たない仕事ですが、日本の産業を支える「縁の下の力持ち」として活躍しています。

1,000リットル(1トン)容量の「マキシコン」シリーズ(上段2枚と下段左)と200リットル容量の「gドラム」(下段右)。液体は使い切りの樹脂製内袋に入れるため、外部に漏れる心配もなく、衛生面でも優れています

物流容器・機材のエキスパートとして、これまで培ったお客さまとの関係を深化するとともに、新たなニーズにも多面的に対応しています。

  •  バイオマスマーク:生物由来の資源(バイオマス)の含有率が10パーセント以上で、品質および安全性が関連法規、基準、規格などに適合する商品を認定するもの。

保険リスクマネジメント機能のグローバル展開

住友商事グループの商取引および事業活動を広範囲で支えているのが保険事業です。貿易ビジネスに関わる貨物損害リスクへの対応、国内グループ会社の資産毀損(きそん)リスク・賠償責任リスクなどの他、グループ従業員向けの保険サービスを提供することを目的に、1975年に事業を開始しました。現在、これらの保険事業を担う事業会社が、住商インシュアランスと住商リスクソリューションズです。

住商インシュアランスでは上記を主な役割として、いまでは住友商事グループの国内事業会社の大半をカバーしています。また住商リスクソリューションズが担当するのは、今注目されている再生可能エネルギーをはじめとした電力事業や鉱山事業、森林事業、鉄道事業など海外プロジェクトに関する再保険調達の業務です。

また、北大西洋のバミューダ諸島に拠点を置くキャプティブ保険会社の住商リスクソリューションズ(バミューダ)を通じ、リスクコストの最適化やリスク低減に向けた積極的な取り組みを展開するとともに、昨今ますます重要性の高まるサイバーリスクやテロリスク、リコールリスクなどに対しても、ロイズ保険市場を含む国際保険マーケットからの保険調達をより一層強化しています。

鉄鋼製品、機械製品、化学品、食料からプラント輸送まで、あらゆる貨物の輸送リスクに対応する貨物海上保険

住友商事グループは日々、多様な分野でグローバルに事業を拡大しています。国内外での新たな貿易・事業投資などのビジネスに伴うリスクに対応し、事業の安定成長を支えるべく、保険業務を常に進化させ、グローバルベースでの保険リスクマネジメント機能の高度化を実現しています。

事業活動のサポートが社会価値につながる

住友商事グループの幅広い活動を専門領域から支援することがミッションである点、得られたノウハウを社外にも提供することを志向している点で、物流事業と保険事業のビジネス構造は共通しています。

さまざまなビジネスをグローバルにサポートし、事業活動の安全と安心を確保すること。事業活動が生み出す社会的価値を高めていくこと。それは、世界中の産業や人々の生活を支えていくことにほかなりません。

今後も総合商社としての総合力をより確かなものにしていくために、当社は物流事業、保険事業の拡大と成長を目指していきます。

SGLインドネシアの倉庫。SGLグループで連携し、ASEAN域内での効率的な物流を実現

2022年06月掲載

キーワード

  • 日本
  • 小売・サービス
  • 金融・保険
  • 都市総合開発グループ

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