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2024.2.29

Business

【住友商事の海外駐在】 〜WORLD BIZ+ アフリカ編 〜多国籍なメンバーで取り組む“国づくり”

世界各国で幅広いビジネスを展開し、日々汗を流している住友商事グループの社員たち。そんな社員の言葉から、住友商事のグローバルビジネスの今を解き明かす「WORLD BIZ+(プラス)」。今回は、住友商事が1954年から約70年にわたってビジネスを展開してきたアフリカ地域を取り上げます。アフリカでのビジネスの歴史、そして社会・経済の発展を目指して奔走する社員の活躍を紹介します。

  • ニッケル・コバルト事業部

    小林 学知

    2017年に入社以来、ニッケル・コバルト生産事業「アンバトビー・プロジェクト」に携わる。21年7月からマダカスカルのトアマシナに駐在し、ダイナテック・マダガスカルに出向中。

  • スマートインフラ事業第二部

    三井 一平

    2007年入社。WEBサービス事業開発、モンゴルの通信事業、東南アジアでのデジタル事業投資に携わった後、19年からエチオピア通信入札案件を主担当としてリード。21年9月からエチオピアのアディスアベバに駐在し、サファリコム・エチオピアに出向中。

【+History】
11カ国で100人超のメンバーがビジネスの芽を育てる

1960年は、アフリカの17カ国が旧宗主国から独立した記念すべき年。住友商事はそれ以前にアフリカの可能性に着目し、54年にエジプトのカイロに最初の拠点を設けました。以降、成長目覚ましいアフリカを舞台に、現在では11カ国11拠点で118人のメンバーが現地に根差しながら、社会課題の解決に向け日々取り組んでいます。

かつては主に鉱物資源、自動車、化学品、食品、ウッドチップなどのトレードビジネスが中心でした。2000年代にかけては、南アフリカの鉄鋼原料事業会社への投資、マダガスカルでのアンバトビー・プロジェクトへの参画など、資源分野のビジネスを推進してきました。さらに10年代では、南アフリカでの風力発電やガーナでの発電事業など、インフラ分野へも積極的に参画。近年では第4の柱として、エチオピアにおける総合通信事業への参画を起点に、アフリカの人々に直接アプローチするコンシューマービジネスへと事業を拡大しています。

住友商事のアフリカにおける拠点

【+Business】
多国籍なメンバーとの信頼関係でサステナブルなプロジェクトに

小林 学知

私は入社以降、マダガスカルで鉱石採掘から地金精錬までを一貫して行う、世界最大規模のニッケル・コバルト生産事業「アンバトビー・プロジェクト」に携わっています。21年6月までは、東京本社で当事業の操業全般・予算計画、投融資実務、現場財務モデルのサポートなどを担当し、同年 7月から当地に赴任。現在は主に資金繰り・財務・操業保険等のマネジメント業務を行っています。

この事業では、マダガスカルの首都から70~80kmほど離れたムラマンガ地区にある鉱山でニッケル鉱石を採掘し、そこから約220kmのパイプラインを通じて鉱石を輸送。沿岸部港湾都市のトアマシナにある工場で精錬を行います。主生産物の高品位ニッケル地金に加え、高品位コバルト地金、硫酸アンモニウムを副産物として生産し、それらの販売までを手掛けています。ニッケルの主な用途はステンレス。近年は世界的な電気自動車市場の拡大に伴い、車載電池材料向け需要のさらなる拡大が見込まれています。鉱山寿命は残り約30年あり、今後四半世紀にわたって日本や世界のニッケル、コバルト供給に貢献していく長期プロジェクトです。

アンバトビーの精錬プラント
多国籍な部署メンバーたち

アンバトビー・プロジェクトはマダガスカル経済にも大きな貢献をし、22年の当プロジェクトによる政府向け総支払額は同国国家予算の約2%を占め、同国輸出総額に占める割合は約3割と、重要な外貨獲得源にもなっています。また、1万人以上の雇用機会の創出に加え、産業技術者を中心とした職業訓練やインターンシッププログラムなども行っています。
現在、マダガスカルの最高額紙幣には、当プロジェクトの精錬プラントが象徴的に描かれています。私自身、国の経済とその発展への期待の象徴となる事業に携われていることに、大きなやりがいと責任感を感じています。

プロジェクトをサステナブルに運営するために、ローカライゼーションは当事業の大きなテーマの一つです。その中で、マダガスカル人従業員たちへの教育・成長機会の提供、そして組織全体への技術・ノウハウの共有・業務の標準化は欠かすことができず、日々の業務の中で常に意識しています。

また、現場は世界40カ国以上から集まった多国籍なメンバーから成り、入れ替わりも多く、文化的背景はもちろん、各人の所属する業界によっても物事の進め方は全く異なっています。お互いを尊重しながら、信頼関係・仲間意識を築くことにも注力し、ダイバーシティ溢れる現場ならではの貴重な経験が多々あります。チャレンジが種々ある環境なので「思うようにいかないのが当たり前、その中でも何とかする」というマインドを持つようにしています。

また、たとえ自分がこの場を離れ、今いるスタッフが交代しても、業務が滞りなく自立して進むよう、住商パーソンとしての考え方やスキル・ノウハウを現地スタッフに浸透させることもミッションの一つです。
休日には、自宅にチームメンバーを招いてたこ焼きパーティーをするなど、円滑なチームビルディングのためにオープンマインドなコミュニケーションを取ることにも心がけています。

プラントが描かれたマダガスカルの最高額紙幣(2 万アリアリ)
自宅にチームメンバーを招いてのたこ焼きパーティー

【+Business】
エチオピアで社会インフラを構築、国づくりに携わる実感

三井 一平

私はエチオピアの携帯電話通信会社「サファリコム・エチオピア」に出向し、主にプロジェクト管理や事業立ち上げ支援などの業務を行っています。

エチオピアはアフリカで2番目の1億2千万人もの人口を有し、年齢中央値は18.5歳と若くて活気のある国です。ただ、市場として有望であるにもかかわらず、これまで国営系の通信事業社1社しか存在せず、携帯電話の普及率は低く留まっていました。そこで住友商事は19年からエチオピアに社員を派遣し、携帯電話がどのように使われているのかなど市場調査を行いました。

その後、通信事業が外資企業に開放されることが決定し、英国の大手通信会社ボーダフォン・グループと共に新規の通信ライセンス入札に応札。落札後、ゼロから事業の立ち上げを行い、22年10月に正式にサービスを開始しました。23年12月末までの累計加入者数は900万人を超え、現地従業員も900人にまで増えました。さらに、サファリコムが提供するモバイル決済サービス「M-PESA」は、23年8月のサービス開始後、4カ月あまりで利用者310万人突破と順調に滑り出しています。

サファリコム・エチオピアの店舗内
街中の小売店でもSIMカードやリチャージカードを気軽に購入可能
アフリカ最大のモバイルマネー「M-PESA」

エチオピアに暮らしながら仕事をしていて、インフラ面での不便さや治安の問題、物資不足による物価高、衛生面での問題など、まだまだ発展途上の段階であることを実感する場面が多々あります。教育や医療の水準も十分ではありません。だからこそ、通信という社会インフラの構築を通じて「この国のためにどういった貢献ができるのか?」を常に問いながら、エチオピアのさらなる可能性を探っています。

サファリコムのサービスを開始してから、これまで独占状態であった通信業界に健全な競争が起こり、業界全体でサービスが改善しています。国際機関や他業界の注目度も高く、パートナーシップを通じて国を良くするためのサービスを検討するなどしており、国づくりへ貢献していることを実感しています。

携帯電話事業というコンシューマーサービスを開始し、決済サービスなども展開し、自分たちが作ったプロダクトを直接お客さまに提供することで喜んでもらえるのは、とても達成感があります。今後は、通信や決済の事業を拡大しつつ、こうした社会インフラを通じて、教育や医療、農業支援などの事業を展開していくこと、さらに他のアフリカ、ヨーロッパ諸国でも、通信事業社やその他テクノロジー企業、スタートアップなどとタッグを組み、社会の変革や課題解決に貢献できる事業を行うことが目標です。

【+Future】
課題解決型ビジネスでアフリカと共に学び、成長していく

アフリカの人々の暮らしは、地域によっては豊かになってきているものの、いまだ貧困や食料・電力不足など多くの課題があるのも実態です。当社は、事業活動を通じてこれらの課題に取り組むべく、デジタルトランスフォーメーションの推進や、国づくりに必要な人材育成や雇用創出を、現地政府と連携しながらアフリカ各地で展開しています。
私たちは今後も、さまざまなビジネスや取り組みを通じて地域特有のニーズに寄り添い、それらに応えていくことで社会課題の解決を実現し、アフリカと共に成長していきます。

【+Life】
ありのままの自然が残る、陽気な島国マダガスカル

小林 学知

私が暮らしている工場併設の居住エリアは、首都から最寄りの空港までプロペラ機で1時間、そこからさらに15km離れた場所にあり、まさにジャングルの中に住まいがあるという感じです。断水や冠水、未整備の穴だらけの道路、衛生環境・物資調達など発展途上国ならではの大変さはありますが、良いところもたくさんあります。居住エリアのすぐ裏には美しいビーチが広がっており、マダガスカル固有のテンレックという動物をはじめ、カメレオンなど数々の珍しい生き物を間近で見られます。音楽が鳴るとみんなで踊り出す、陽気な国民性も大好きです。

居住エリア裏にはインド洋のビーチが広がる

マダガスカルで見られるテンレック(左)とカメレオン




【+Life】
標高2,400mの街アディスアベバでの休日の楽しみ

三井 一平

私が住んでいるアディスアベバは、標高が約2,400mの高地で常春の都市。10月から5月の乾季はからっと晴れる日が多く、ゴルフやテニスを快適に楽しんでいます。アフリカの首都と言われ、外交官や国際機関で働く外国人が多く住んでいるため、立派なインターナショナルスクールがあります。子どものクラスメートからホームパーティーに呼ばれることも多く、エチオピア人はもちろんのこと、さまざまな国の人と交流できるのも魅力です。アディスアベバはハブ空港のためアフリカや中東へのアクセスが良く、周辺国への旅行も楽しみの一つです。

カラフルな遊具が並ぶインターナショナルスクール

アディスアベバはアフリカの中でも最も標高の高い都市のひとつ

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