A[2013年度の総括] 北米鋼管事業が堅調に推移した他、スチールサービスセンター事業が、タイでの自動車生産台数の増加、中国での日本製品の需要回復、アベノミクスによる国内景気回復を受け堅調に推移したことから、当期利益は前年度比93億円増益の266億円となりました。
エネルギー産業向け鋼管・鋼材のグローバルディストリビューターEdgen Group(エジェン・グループ)を買収するなど、将来の収益基盤拡大に向けた取り組みを着実に進めています。
[2014年度における取り組み]鋼管事業において油井機器、資材・サービス分野へ投資し、バリューチェーンのさらなる強化に取り組みます。また、輸送機金属製品事業では世界的な潮流となりつつある長尺レールの輸出事業に、アルミ関連事業ではマレーシアにおける製錬事業の拡張事業に取り組んでいきます。
同時にエジェン・グループやモーターコア製造・販売会社 Kienle+Spiess Gmbh(K+S社)といった近年買収した事業の成長戦略を推進し、収益の拡大を図っていきます。
(億円) | 2012年度 | 2013年度 | 2014年度 予想 |
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売上総利益 | 803 | 972 | 1,030 |
営業活動に係る利益 | 218 | 346 | - |
持分法による投資利益 | 57 | 56 | - |
当期利益(親会社の所有者に帰属) | 173 | 266 | 310 |
資産合計 | 8,472 | 8,844 | - |
目指す姿
製造から加工・流通までの事業展開を通じて、拡大する新興国の需要と顧客ニーズに応えます。
新興国では、旺盛な個人消費を背景に自動車やバイク・家電・建材などの需要が増加しています。また、先進国でのモーダルシフトや新興国での鉄道インフラ整備が進められており、鋼材需要はさらに増加することが期待されます。
新興国を中心に世界14ヵ国で展開する34社のスチールサービスセンター事業を販売の基盤として、高付加価値化と効率経営で収益を拡大します。
また、鉄道用の車輪・車軸、自動車用クランクシャフトなどの輸送機材も、世界各地域に製販拠点を展開し、マーケットシェアの拡大を図ります。
環境対策やエネルギーコストへの意識から、電気自動車・ハイブリッドカー・風力発電機などへの需要増が期待されるモーターコア事業では、2013年に欧州最大規模の製造・販売会社 K+S社を買収しました。世界No.1のメーカーを目指し事業の拡大を図っています。
また、輸送機金属製品では、世界的に需要が増加している長尺(150m)レールの輸送船を新造し、海外輸出の拡大を図っています。
目指す姿
中長期的なエネルギー需要の増加に対応して、鋼管バリューチェーンを深化・拡充します。
原油・ガス開発用の油井管や輸送用のラインパイプなどの鋼管需要は、新興国を中心としたエネルギー需要の高まりに対応して中長期的に増加すると見込まれます。
当社の鋼管ビジネスは、グローバルにさまざまな機能を発揮した事業展開を図ることで、業界トップクラスのネットワークと取り扱い規模を誇っています。例えば、発注から在庫管理、加工、検査、輸送、修理までの一貫したサービスを提供するサプライチェーン・マネジメントを世界14ヵ国で展開しており、今後もこれまで築いてきた鋼管バリューチェーンを強化し、収益基盤の拡大を図ります。
2013年11月にエネルギー産業向け鋼管・鋼材のグローバルディストリビューターであるエジェン・グループの株式を100%取得しました。
また、油井管隣接分野である油井機器、資材・サービス事業では、2007年に買収したHOWCO社の事業が拡大しています。今後は、同分野をさらに強化し、鋼管バリューチェーンのさらなる拡大を目指していきます。
目指す姿
グローバルプレーヤーとの関係を強化し、コスト競争力のあるバリューチェーンを構築します。
アルミやチタンなどの非鉄金属製品はその用途が広がっています。自動車や航空機などの燃費改善につながる軽量化への強いニーズもあり、今後市場の拡大が見込まれます。
当社はアルミビジネスにおいて、地金の販売では国内トップクラスの取り扱い実績を誇っています。今後、さらなる基盤拡大のため、成長が期待されるグローバルマーケットにおけるバリューチェーン構築を目指し、川上(製錬)から川中(圧延)にかけての生産拠点の展開を加速させていきます。
マレーシアでは同国のアルミ押出品製造最大手であるPress Metal Berhad(Press Metal社)とともにアルミニウム地金製錬事業を推進しています。2013年11月には、同事業の2期計画への参画に合意し、同国におけるアルミ地金製錬事業の規模を約3倍まで引き上げるなど、アルミ事業におけるバリューチェーンの拡大に取り組んでいます。
当社は、2013年11月にエネルギー産業向け鋼管・鋼材のグローバルディストリビューターであるエジェン・グループの全株式を取得しました(株式取得額:約520億円)。
同社は、世界18ヵ国に35拠点を持ち、石油・ガス輸送用、発電所や石油化学プラント用の鋼管や、海洋構造物用の鋼材などを供給すると共に、米国においてシェール開発向け油井管の問屋事業を行っています。
当社は全世界向けの鋼管輸出を軸に、現場へのリアルタイムでの供給を可能にするサプライチェーン・マネジメント構築のほか、米国を中心とした問屋販売ネットワークの拡充、鋼管製造ミルや加工業への出資を通じた供給力の強化、油井関連機器の加工問屋の買収など、油井周辺のバリューチェーン構築に注力してきました。
今回の買収は、シェール開発向けの需要が旺盛な油井管やラインパイプに関して、当社が築き上げてきた製造・流通市場のネットワークをさらに強化すると共に、活発な石油精製・石油化学・発電プラントの新設を背景とした鋼管・継手・フランジの需要や、堅調な成長が見込まれる海洋石油ガス開発向けの鋼材・厚板・鋼管の需要に対応しうる販売体制の拡充を図るものです。
当社は、バリューチェーンのさらなる深化を通じてグローバルでのサービス提供力を高め、今後ますます高度化する顧客ニーズに応えていきます。