セグメント別事業概況

主要分野

  • 鋼材
  • 鋼管
  • 非鉄金属製品

組織名

  • 金属総括部
  • 鋼板・建材本部
  • 輸送機金属製品本部
  • 軽金属・特殊鋼板本部
  • 鋼管本部

金属

事業部門長メッセージ

環境の変化に対応し、ビジネスモデルの変革をリードします。冨樫 和久 金属事業部門長

Q当部門を取り巻く中長期的な事業環境の見通しについて教えてください。
A新興国では旺盛な個人消費を背景とした自動車・家電・建材などの鋼材の需要増が見込まれます。また、シェール開発や海洋石油・ガス開発などの発展により、金属製品の新たな需要が創出されている他、アルミ缶の消費増や自動車燃費改善のための車体軽量化のニーズの増加によりアルミの需要増が見込まれます。このように金属を取り巻く環境にはさまざまな変化が起こっており、それぞれの分野で新たなビジネスチャンスがあると考えています。
Q「目指す姿」の実現に向けた中長期的な取り組みを教えてください。
Aエネルギー関連バリューチェーンのさらなる拡大を図ると共に、新興国・先進国で安定成長が見込まれる鉄道や自動車関連バリューチェーンでも、存在感のあるサプライヤーとしての地位を構築していきます。また、アルミ関連事業では上流(製錬)から中流(圧延)にかけて生産・販売拠点の拡大に注力するなど、今後成長が見込まれるさまざまな分野において、ビジネスモデルの変革を進めながらバリューチェーンの深化・拡充を図っていきます。

→ 成長が見込まれる分野でバリューチェーンの深化・拡充を図る

QBBBO2014の1年目(2013年度)の総括と2年目(2014年度)における取り組みについて教えてください。

A[2013年度の総括] 北米鋼管事業が堅調に推移した他、スチールサービスセンター事業が、タイでの自動車生産台数の増加、中国での日本製品の需要回復、アベノミクスによる国内景気回復を受け堅調に推移したことから、当期利益は前年度比93億円増益の266億円となりました。

エネルギー産業向け鋼管・鋼材のグローバルディストリビューターEdgen Group(エジェン・グループ)を買収するなど、将来の収益基盤拡大に向けた取り組みを着実に進めています。

K+S社が製造するモーターコア製品
K+S社が製造するモーターコア製品

[2014年度における取り組み]鋼管事業において油井機器、資材・サービス分野へ投資し、バリューチェーンのさらなる強化に取り組みます。また、輸送機金属製品事業では世界的な潮流となりつつある長尺レールの輸出事業に、アルミ関連事業ではマレーシアにおける製錬事業の拡張事業に取り組んでいきます。

同時にエジェン・グループやモーターコア製造・販売会社 Kienle+Spiess Gmbh(K+S社)といった近年買収した事業の成長戦略を推進し、収益の拡大を図っていきます。

→ 新規投資とともに近年買収した事業の成長戦略を推進する

Q事業活動を通じたCSRについて、どのような取り組みを行っていますか。

7年連続休業災害ゼロを達成7年連続休業災害ゼロを達成し表彰を受けたサハリンのオペレーションチームし表彰を受けたサハリンのオペレーションチーム
A事業活動を行う上でHSE(労働衛生・安全・環境)管理を重要課題と位置づけ、全事業会社において安全マニュアル、安全衛生管理規程、作業手順書を整備し、従業員への安全管理教育を徹底することで、事故の未然防止に努めています。鋼管本部では、グローバルなHSE管理体制を構築し、労働災害撲滅に向けて“Zero Harm”目標を掲げ、安全管理システムによる最適な運営管理、安全な労働環境の整備・改善に注力しています。2013年度には、欧州、アジア大洋州でHSE専門家をマネジャーに起用し、海外主要拠点への専門家の配備が完了するなど、一層の体制強化を図りました。今後も、HSE管理が“当たり前の文化”として根付いている姿を目指し、取り組みレベルを上げていきます。

業績ハイライト

(億円) 2012年度 2013年度 2014年度
予想
売上総利益 803 972 1,030
営業活動に係る利益 218 346 -
持分法による投資利益 57 56 -
当期利益(親会社の所有者に帰属) 173 266 310
資産合計 8,472 8,844 -

主要分野の概況

鋼材分野

目指す姿 目指す姿

製造から加工・流通までの事業展開を通じて、拡大する新興国の需要と顧客ニーズに応えます。

【事業環境】

新興国では、旺盛な個人消費を背景に自動車やバイク・家電・建材などの需要が増加しています。また、先進国でのモーダルシフトや新興国での鉄道インフラ整備が進められており、鋼材需要はさらに増加することが期待されます。

【強みと戦略】

新興国を中心に世界14ヵ国で展開する34社のスチールサービスセンター事業を販売の基盤として、高付加価値化と効率経営で収益を拡大します。

また、鉄道用の車輪・車軸、自動車用クランクシャフトなどの輸送機材も、世界各地域に製販拠点を展開し、マーケットシェアの拡大を図ります。

【足元の取り組み】

長尺(150m)レールを輸送する専用船
長尺(150m)レールを輸送する専用船

環境対策やエネルギーコストへの意識から、電気自動車・ハイブリッドカー・風力発電機などへの需要増が期待されるモーターコア事業では、2013年に欧州最大規模の製造・販売会社 K+S社を買収しました。世界No.1のメーカーを目指し事業の拡大を図っています。

また、輸送機金属製品では、世界的に需要が増加している長尺(150m)レールの輸送船を新造し、海外輸出の拡大を図っています。

鋼管分野

目指す姿 目指す姿

中長期的なエネルギー需要の増加に対応して、鋼管バリューチェーンを深化・拡充します。

【事業環境】

原油・ガス開発用の油井管や輸送用のラインパイプなどの鋼管需要は、新興国を中心としたエネルギー需要の高まりに対応して中長期的に増加すると見込まれます。

【強みと戦略】

当社の鋼管ビジネスは、グローバルにさまざまな機能を発揮した事業展開を図ることで、業界トップクラスのネットワークと取り扱い規模を誇っています。例えば、発注から在庫管理、加工、検査、輸送、修理までの一貫したサービスを提供するサプライチェーン・マネジメントを世界14ヵ国で展開しており、今後もこれまで築いてきた鋼管バリューチェーンを強化し、収益基盤の拡大を図ります。

【足元の取り組み】

シームレス鋼管の製造現場
シームレス鋼管の製造現場

2013年11月にエネルギー産業向け鋼管・鋼材のグローバルディストリビューターであるエジェン・グループの株式を100%取得しました。

また、油井管隣接分野である油井機器、資材・サービス事業では、2007年に買収したHOWCO社の事業が拡大しています。今後は、同分野をさらに強化し、鋼管バリューチェーンのさらなる拡大を目指していきます。

非鉄金属製品分野

目指す姿 目指す姿

グローバルプレーヤーとの関係を強化し、コスト競争力のあるバリューチェーンを構築します。

【事業環境】

アルミやチタンなどの非鉄金属製品はその用途が広がっています。自動車や航空機などの燃費改善につながる軽量化への強いニーズもあり、今後市場の拡大が見込まれます。

【強みと戦略】

当社はアルミビジネスにおいて、地金の販売では国内トップクラスの取り扱い実績を誇っています。今後、さらなる基盤拡大のため、成長が期待されるグローバルマーケットにおけるバリューチェーン構築を目指し、川上(製錬)から川中(圧延)にかけての生産拠点の展開を加速させていきます。

【足元の取り組み】

Press Metal社で製造するアルミ地金
Press Metal社で製造するアルミ地金

マレーシアでは同国のアルミ押出品製造最大手であるPress Metal Berhad(Press Metal社)とともにアルミニウム地金製錬事業を推進しています。2013年11月には、同事業の2期計画への参画に合意し、同国におけるアルミ地金製錬事業の規模を約3倍まで引き上げるなど、アルミ事業におけるバリューチェーンの拡大に取り組んでいます。

プロジェクト紹介

鋼管バリューチェーンの深化・拡充
ラインパイプとして使用される大径管
ラインパイプとして使用される大径管

当社は、2013年11月にエネルギー産業向け鋼管・鋼材のグローバルディストリビューターであるエジェン・グループの全株式を取得しました(株式取得額:約520億円)。

同社は、世界18ヵ国に35拠点を持ち、石油・ガス輸送用、発電所や石油化学プラント用の鋼管や、海洋構造物用の鋼材などを供給すると共に、米国においてシェール開発向け油井管の問屋事業を行っています。

当社は全世界向けの鋼管輸出を軸に、現場へのリアルタイムでの供給を可能にするサプライチェーン・マネジメント構築のほか、米国を中心とした問屋販売ネットワークの拡充、鋼管製造ミルや加工業への出資を通じた供給力の強化、油井関連機器の加工問屋の買収など、油井周辺のバリューチェーン構築に注力してきました。

今回の買収は、シェール開発向けの需要が旺盛な油井管やラインパイプに関して、当社が築き上げてきた製造・流通市場のネットワークをさらに強化すると共に、活発な石油精製・石油化学・発電プラントの新設を背景とした鋼管・継手・フランジの需要や、堅調な成長が見込まれる海洋石油ガス開発向けの鋼材・厚板・鋼管の需要に対応しうる販売体制の拡充を図るものです。

当社は、バリューチェーンのさらなる深化を通じてグローバルでのサービス提供力を高め、今後ますます高度化する顧客ニーズに応えていきます。