セグメント別事業概況

主要分野

  • 資源・エネルギー
  • 化学品・エレクトロニクス

組織名

  • 資源・化学品総括部
  • 資源第一本部
  • 資源第二本部
  • エネルギー本部
  • 基礎化学品・エレクトロニクス本部
  • ライフサイエンス本部

資源・化学品

事業部門長メッセージ

環境の変化に的確に対応し成長する強靭なビジネス基盤の構築を目指します。藤田 昌宏 資源・化学品事業部門長

Q当部門を取り巻く中長期的な事業環境の見通しについて教えてください。

A世界的な人口増加・新興国を中心とする経済成長に伴い資源・エネルギー需要は拡大していき、高度な技術を要する深海油田開発や米国が牽引しているシェールガス・オイル開発がますます活発化していくと見ています。また、新興国におけるライフスタイルの変化を背景に質的・量的な食料の需要の拡大が見込まれていますが、地球温暖化による気候変動が世界の農業生産に影響を及ぼすことが懸念されており、農業生産性の向上が求められています。

Q「目指す姿」の実現に向けた中長期的な取り組みを教えてください。
A資源上流分野では、既存案件の着実なバリューアップに加えて、重点戦略商品を中心にコスト競争力のある優良案件を厳選し投資すると同時に、継続的な資産入替を実施し、ポートフォリオの最適化を図ります。中下流ビジネス分野では、上流ビジネスとのシナジー発揮、優良パートナーとの連携強化などを切り口に業界の構造変化を先取りした新たな付加価値の創造を行い、差別化された事業及びトレードを推進していきます。

→ 中長期的に拡大する資源・エネルギー需要を事業投資・トレード両面から捉える

QBBBO2014の1年目(2013年度)の総括と2年目(2014年度)における取り組みについて教えてください。

A[2013年度の総括]南アフリカ鉄鉱石事業が販売数量増加などにより増益となったものの、市況価格下落の影響を受け豪州石炭事業アイザックプレーンズの減損を計上したことから、当期利益は、前年度比237億円減益の240億円となりました。

マダガスカルのアンバトビー・ニッケルプロジェクトの商業生産開始など大型投資案件のバリューアップに取り組んだほか、2017年からの日本向け輸出を予定している米国LNGプロジェクトを推進しました。

マダガスカル アンバトビー・ニッケルプラント
マダガスカル アンバトビー・ニッケルプラント

[2014年度における取り組み]資源・エネルギー上流分野では、現在取り組み中の開発案件の着実な立ち上げに最優先に取り組みます。既存案件については継続的なコスト競争力の改善及び拡張計画の着実な推進を図るとともに資産入替を進め、より良質のポートフォリオ構築を図ります。中・下流分野では、上述の米国LNG輸出プロジェクトを計画どおりに推進していくことに加え、合金鉄や石油化学品の海外製造事業にも取り組みます。また、グローバル展開している農薬事業の販売基盤のさらなる拡大及び農業生産マルチサポート事業*の深化・グローバル展開を図るなど農業バリューチェーンを構築していきます。

  • * 農業生産に必要な資材・サービスをワンストップで提供する事業

→ 開発中案件の着実な立ち上げ、バリューアップに一層注力

Q事業活動を通じたCSRについて、どのような取り組みを行っていますか。
ボリビア サンクリストバル技術訓練センターの授業風景
ボリビア サンクリストバル技術訓練センターの授業風景

A世界各地で鉱山開発事業を手掛けていますが、鉱山周辺をはじめとする地域社会の持続可能な発展への貢献なくして事業は継続できません。例えば、南米ボリビアのサンクリストバル鉱山事業では、鉱山で働く現地技術者を育成する技術訓練センターを設立していますが、近隣住民にも門戸を広げて経済的な自立を支援しています。また、道路、橋、上水道、病院、学校などの社会インフラ整備を通じた地域貢献にも取り組んでいます。さらには、粉塵の飛散を防止する大型ドームの建設、持続可能な地下水利用など、さまざまな環境保全対策に取り組んでいます。

業績ハイライト

(億円) 2012年度 2013年度 2014年度
予想
売上総利益 890 805 970
営業活動に係る利益 268 ▲108 -
持分法による投資利益 308 369 -
当期利益(親会社の所有者に帰属) 477 240 380
資産合計 14,001 16,145 -

主要分野の概況

資源・エネルギー分野

目指す姿 目指す姿

上流権益投資やトレードを通じ、鉱物資源及びエネルギーの安定供給に貢献します。

【事業環境】

足元では、中国をはじめとした新興国の経済成長の減速による資源価格の低迷が継続していますが、中長期的には、鉱物資源・エネルギー需要拡大が見込まれます。また、非在来型エネルギー開発が活発化する中で、世界のエネルギー需給構造の変革も進んでいます。

【強みと戦略】

重点戦略商品を中心として、時間軸(生産開始の時期や鉱山寿命)、地域軸(カントリーリスクの分散)及び参画形態(優良パートナーとの連携や当社機能の高度化)を考慮し、中長期的な需要拡大を見据え、最適な資源権益ポートフォリオを構築していきます。当社が100%権益を保有するボリビアのサンクリストバル銀・亜鉛・鉛鉱山の操業やその他の鉱山事業への参画を通じて、当社に鉱山経営ノウハウが蓄積され、多くの人材が育っています。米国の非在来型ガス事業においては、シェールガス上流開発における知見と同国内で展開するガストレード会社の機能を合わせ、上流から流通・液化・LNG輸出までのガス・バリューチェーンの構築に取り組むなど、上流から中下流にかけてのシナジーをさらに追求していきます。

【足元の取り組み】

ブラジル MUSA鉄鉱石事業
ブラジル MUSA鉄鉱石事業
ボリビア サンクリストバル銀・亜鉛・鉛鉱山
ボリビア サンクリストバル銀・亜鉛・鉛鉱山

既存権益のコスト競争力の改善、拡張計画を着実に取り進めると共に、大型資源上流プロジェクトの着実な推進に注力しています。米国のシェールガス・オイル事業は、地質調査・掘削効率化を図りながら開発・生産を進めています。チリのシエラゴルダ銅鉱山プロジェクトは、2014年中の生産開始を目指し、開発を進めています。ブラジルのMUSA鉄鉱山事業では、拡張に向けた計画を推進しています。マダガスカルのアンバトビー・ニッケルプロジェクトは、商業生産を開始しましたが、安定的に操業率を高め早期のフル操業を目指します。前述のサンクリストバル鉱山では、鉱量増加に向けた探鉱を継続的に実施し、事業のバリューアップを図っています。豪州石炭事業では、クレアモント権益の買収を行いました。また、中下流ビジネスにおいては、米国LNGの日本向け輸出を目指すCove Point LNGプロジェクトに関し、米国エネルギー省からの輸出許可を取得し、2017年からの輸出を目指し準備を進めています。マレーシアでは、マンガン系合金鉄製造事業を2016年の完工を目指して取り進めています。

化学品・エレクトロニクス分野

目指す姿 目指す姿

高機能で差別化された事業・トレードをグローバルで展開し、豊かさと夢を実現します。

【事業環境】

新興国の人口増加と経済発展に伴い食糧需要が伸びていく中で、農作物の品質や収穫量を向上させる農薬・肥料の需要増加が見込まれます。シェールガスを利用した化学品業界の構造的変化が起きています。

【強みと戦略】

世界的に展開している農薬事業の展開エリアの拡大・新たな取扱材、事業権の取得に加え、肥料事業とのシナジーを追求し農業生産マルチサポート事業の構築を図ります。

また、当社が保有する米国シェールガス上流権益の周辺事業としてのガス化学事業の展開を図っています。

【足元の取り組み】

ルーマニア Alcedo社が所有する穀物サイロ
ルーマニア Alcedo社が所有する穀物サイロ

新たにトルコ・チリに農薬販売会社を設立し、グローバル販売網の拡充を進め、ルーマニアの農業資材販社Alcedo S.R.L.による農業生産マルチサポート事業のさらなる深化を推進しています。中国にてスペインCEPSA Quimica社との石油化学品製造事業に参画しました。ロシアでは高純度石英製造プロジェクトに参画しました。エレクトロニクス事業では、EMS事業の基盤を強化し、バリューチェーンの拡大に取り組んでいます。

プロジェクト紹介

米国LNG輸出事業

2011年の東日本大震災以降、国内の原子力発電所の稼働停止を背景に液化天然ガス(以下、LNG)需要が増加する中で、米国のLNG輸出が注目されています。

当社は、Dominion Cove Point LNG, LP(以下、ドミニオン社)がメリーランド州で推進するコーブポイントLNGプロジェクトに参画しています。本プロジェクトは、ドミニオン社により新たに建設される天然ガス液化プラントで、シェールガスをはじめとする米国産天然ガスを液化し、LNGとして日本向けに輸出するという取り組みです。2013年9月に米国エネルギー省による自由貿易協定(FTA)未締結国向けのLNG輸出許可を取得し、年内を予定している米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)による基地建設許可の発行を経て、2017年の輸出開始を目指しています。

当社は、2004年より開始した米国内の天然ガストレーディング・マーケティング事業で培ったノウハウ・ネットワークを活用しながら、米国産天然ガスを安定的かつ長期にわたり液化プラントに供給し日本向けLNG輸出を行う役割を担っています。ドミニオン社と年間約230万トン分の天然ガス液化加工契約を締結し、2017年より20年間にわたり東京ガス(株)及び関西電力(株)に販売する予定です。

当社は同プロジェクトを通じて、米国産天然ガス価格に連動したLNGを日本へ供給し、日本のLNG調達先及び価格フォーミュラの多様化を図り、エネルギーの安定供給・調達先分散化に貢献していきます。

シェールガス 掘削から海上輸送までの流れ