A[2013年度の総括]インドネシアのタンジュン・ジャティBなどの電力事業が堅調に推移したことに加え、バリュー実現案件の利益貢献により、当期利益は前年度比51億円増益の191億円となりました。
将来の収益基盤拡大に向けた取り組みとしては、クウェートの発電・造水事業、ベルギーの洋上風力発電事業、ミャンマーの工業団地事業に参画するとともに、UAEのガス火力発電所、南アフリカの風力発電所などの建設を進めている他、英国水事業権益の一部の戦略的パートナーへの譲渡や、国内風力発電所の資産入替など、BBBO2014における取り組みは着実に進捗しています。
[2014年度における取り組み]海外電力事業においては、クウェートの発電・造水事業、タイ/マレーシアの大型電力EPC案件、南アフリカ/米国の風力発電事業の建設工事、並びに、ベルギーにおける洋上風力事業の開発など、既存プロジェクトの着実な推進に加え、新規案件の開拓にも取り組みます。また、国内電力分野でバイオマス燃料を利用した新規自社電源建設に着工する他、新規海外工業団地の開発、新規水事業案件の開拓にも取り組みます。
A大阪市此花区夢洲において、当社を含む民間企業9社と大阪市は、埋立処分地を有効活用したメガソーラー事業「大阪ひかりの森プロジェクト」を推進しており、2013年11月に発電事業を開始しました。
2014年2月には、この隣接地に、電気自動車(EV)で使用した電池を再利用する大型蓄電池システムを設置し、天候に左右されるメガソーラーの出力変動への抑制効果を実証する事業を開始しました。同時に、将来大量に回収されるEVの中古電池を経済性の高い大型蓄電池システムとして安全に運用する方法の確立を目指します。使用しているEVの中古電池は、当社が日産自動車(株)と共同で設立したフォーアールエナジー(株)が供給しています。
(億円) | 2012年度 | 2013年度 | 2014年度 予想 |
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売上総利益 | 603 | 637 | 660 |
営業活動に係る利益 | 136 | 192 | - |
持分法による投資利益 | 42 | 52 | - |
当期利益(親会社の所有者に帰属) | 140 | 191 | 210 |
資産合計 | 6,051 | 5,970 | - |
目指す姿
高効率で環境負荷の少ないインフラ整備案件を推進し、持続的に発展可能な社会・産業の実現に貢献します。
再生可能エネルギー発電分野では、一部先進国で導入優遇政策の調整が見られるものの、普及促進の流れは続くと見ています。国内では電力小売自由化の動きが進みます。水需要は新興国を中心とした急速な工業化や都市化を背景に増大が見込まれます。
再生可能エネルギー発電分野では、米国/南アフリカなどにおける案件開発経験を、また、水事業分野では、英国における上水道事業のノウハウを活かし、新規案件の開発による収益基盤の拡充に取り組みます。
国内では、サミットエナジー(株)における電力オペレーション経験と多様な燃料ポートフォリオの電源を活かしつつ、自由化の流れを捉えて電力小売事業の拡大に取り組みます。
日本、米国、南アフリカで風力や太陽光発電所の建設を進めており、ベルギーでは洋上風力発電事業の開発を進めています。また、国内では新規の電源として、バイオマス発電所の建設にも取り組んでいます。水事業では、オマーンにおいて海水淡水化事業のプラント建設を進めています。
目指す姿
市場ニーズに応じた電力インフラビジネスの拡大を通じ、社会の発展と会社業績に、長期安定的に貢献します。
世界的な電力需要は、東南アジア、中東、サブサハラなどの新興地域の経済成長や人口増加を背景に今後さらに増加すると見込まれます。
地域・取引先とのネットワークを活かした市場との対話を通じてニーズを的確かつ早期に把握し、EPC及びI(W)PPビジネスの豊富な経験と結びつけることにより、住友商事ならではのプロジェクトを提案・組成することがわれわれの強みです。アジア、中東、米州といった深い知見をもつ市場において良質な収益基盤の積上げを図るとともに、ポテンシャルの大きな新規新興市場にも挑戦します。
UAEで建設中のシュワイハットS3ガス火力発電所は、2014年8月の商業運転開始を予定しています。また、クウェートにおける同国初の民活型IWPPであるアズール・ノースプロジェクトは、2016年の商業運転開始を目指し建設を進めています。電力EPC分野では、マレーシア、タイで大口案件の建設を進めている他、東南アジア/サブサハラ地域での新規大型案件の開発にも取り組んでいます。
目指す姿
物流・保険機能の拡充を通じた全社収益への貢献と、海外工業団地事業の基盤拡大を目指します。
当社グループのビジネスの大型化・複雑化に伴い、より高度な物流・保険機能が求められています。また、東南アジアを中心とした日系製造業の海外進出により、高品質な物流サービスや工業団地の需要が増大しています。
長年にわたる、総合商社のグローバルかつ多様な商材の物流経験と、各種大型プロジェクト案件に関する保険リスクマネジメントのノウハウを活かし、グループ全体の各種事業立ち上げ・拡大支援など、全社ビジネスの基盤拡大に貢献するとともに、これらノウハウを活かした独自収益の獲得にも取り組みます。海外工業団地ビジネスでは、業界内で高いプレゼンスを有し、付加価値の高いサービスを提供します。
国内外で高品質の物流体制を構築・運営している他、海外での新規大型プロジェクトでは調達管理面全般において貢献しています。
海外工業団地事業では、フィリピン、ベトナムの既存工業団地の拡張を進めるとともに、ミャンマーでのティラワ工業団地開発に主導的立場で取り組んでいます。
当社の海外電力事業は、1970年代の電力ケーブル、変電機器の輸出から始まり、EPC事業やIPP事業へと機能を高度化してきました。この過程で獲得した発電所の設計から建設、発電事業の開発から運営までの知見・ノウハウを活かし、現在では、アジアを中心に中東、北米、豪州などで、地域のニーズに応じた事業を展開しています。中東では、生活水準の向上、工業化振興に伴う需要増大を背景に、多くのIPP・IWPP事業が計画されており、重点市場の一つと位置づけ、UAEアブダビには新規案件開発並びに運転中の発電アセットの管理・運営を担う専門家チームを設置しています。
2014年1月に建設を開始したクウェートのアズ―ル・ノースプロジェクトは、同国初の民活型発電・造水事業であり、同国の電水省と40年間の長期売電・供水契約を結び、電力と水の長期安定的な供給に貢献します。また、UAEでは、燃料効率が高く、環境への負荷が低いシュワイハットS3天然ガス焚き複合火力発電所の建設が進んでおり、2014年に完工を迎えます。
今後も、海外電力事業においては、重点市場を中心に優良な資産を積み増し、2019年には現在5,478MW(2014年3月末)の持分発電容量を10,000MWまで引き上げ、長期安定的な収益基盤の構築を目指します。
発電方式: | 天然ガス焚き 複合火力発電 |
発電容量: | 約1,500MW |
(造水量) | (日量 約48万トン) |
総事業費: | 約18億ドル |
発電方式: | 天然ガス焚き複合 火力発電 |
発電容量: | 約1,600MW |
総事業費: | 約15億ドル |