A日本の消費市場は安定的で巨大な成熟市場です。少子高齢化と人口減少が同時に進行する一方、世界的にも消費者の生活水準は高く、価格よりも価値を重視した消費傾向が高まっています。海外に目を向けると、新興国で中間所得層が育っており、今後も成長を牽引する見込みです。
国内では多様化する消費者のニーズを捉え、また、国内で培ったノウハウを海外に展開し成長につなげる動きが活発になっています。
A[2013年度の総括]ケーブルテレビ事業やテレビ通販事業、マンション分譲事業などの主力事業が堅調に推移したものの、前年度にジュピターショップチャンネル(株)の持分一部売却に伴う利益があったことから、当期利益は前年度比147億円減益の544億円となりました。
建設不動産分野では、東京電機大学神田キャンパス跡地再開発や銀座六丁目再開発などの都市開発事業が進捗しています。
[2014年度における取り組み]メディア・IT・リテイル分野では、テレビ通販、Eコマース、ドラッグストアなど、BBBO2014初年度までに海外で蒔いたビジネスの種を着実に育てることに注力します。当社がKDDI(株)と共同で運営する(株)ジュピターテレコム(J:COM)は、2013年12月に買収したジャパンケーブルネット(株)(JCN)との合併を経て統合効果を追求していきます。生活関連分野では、食料ビジネスにおいて、豪州やアジアの川上事業の基盤を強化するとともに、川中事業へのバリューチェーンの展開を図ります。米国タイヤ事業のTBC Corporationは、再建計画を着実に実行し2015年度の業績本格回復に繋げていきます。建設不動産分野では、国内戦略エリアにおいて資産を入れ替えながら優良資産を積み増すとともに、中長期視点で収益化が見込める新規案件の発掘にも取り組みます。
A経済発展著しいアジアをはじめ世界的に木材資源需要が高まる中、環太平洋地域を中心に調達した木材のグローバル販売体制構築に取り組んでいます。その一環として、ニュージーランドの森林36,000ヘクタールを取得しました。木材の長期安定供給を維持するには自然環境との共生が不可欠と考え、伐採と育林を計画的に繰り返すことで永久に森林再生が可能な事業モデルを確立し、世界的な森林認証制度であるFSC認証®を取得しています。その土地に適した手法で持続可能な森林経営を行う当社の姿勢は、現地でも高く評価されています。
(億円) | 2012年度 | 2013年度 | 2014年度 予想 |
---|---|---|---|
売上総利益 | 2,870 | 2,849 | 3,010 |
営業活動に係る利益 | 340 | 395 | - |
持分法による投資利益 | 254 | 398 | - |
当期利益(親会社の所有者に帰属) | 691 | 544 | 540 |
資産合計 | 18,232 | 18,712 | - |
目指す姿
業界トップレベルの国内事業の強化と海外展開により、収益基盤の拡大を目指します。
日本の消費市場は、安定的かつ世界有数の巨大な市場です。消費者の嗜好やライフスタイルの多様化を受け、この成熟した市場の中でも、Eコマース市場の成長が続いています。中国やアジアなどの新興国では、経済発展により中間所得層の購買力が高まっています。
当社が有する事業会社は、国内ケーブルテレビ市場でNo.1シェアを占めるJ:COM、フルラインナップのグローバルITサービスを提供するSCSK(株)、国内最大のテレビ通販を運営するジュピターショップチャンネル(株)など、業界トップレベルの事業を展開しています。これらの事業をさらに強化するとともに、グローバル展開を図ります。
J:COMはJCNを買収・合併し、市場における圧倒的な地位を確立しました。ブランド・サービス統合を通じさらなる成長を図ります。
また、テレビ通販事業ではタイでの番組放映を開始しました。
このほか、Eコマース事業ではM&Aも活用し事業拡大を図っています。
目指す姿
グローバルに安心・安全・快適な食生活、住生活、社会生活環境の提供を目指します。
アジアなどの新興地域では、経済発展により食の多様化や高級化が進み、穀物、油脂及び食肉などの需要が増加しています。また、木材需要は飛躍的に拡大しており、特に中国の木材輸入量は、この10年で10倍以上に増加しています。
当社の食料事業は、豪州の穀物事業やフィリピンのバナナ事業などの川上分野に強みがあります。今後、川上分野をさらに強化するとともに、アジアなどの消費地で川中事業を展開します。
木材資源事業では、アジア市場を見据え、環太平洋地域における森林資源の拡充を進めていきます。
全社育成分野である食料事業では、豪州穀物事業を行うEmerald Grain Pty Ltdへの出資比率を50%から100%に引き上げ、強固な事業基盤を整えました。また、アジアではベトナムの製粉事業や、タイ・中国の製糖事業に参画し、川上事業から川中事業へのバリューチェーンの構築を進めています。
TBC社では、引き続き業績回復に向けて取り組んでいます。
目指す姿
人間と自然の共生など、持続可能な街づくりを行いながら、国際競争力を高める街づくり及び都市再開発を目指します。
日本の不動産市場は、都心部及び一等地の需要が底堅く推移しています。加えて、建物やその保守に対する「安全・安心」や、環境配慮への意識が従来以上に高まっています。
当社は、総合ディベロッパーとして、古くから不動産事業に携わってきました。需要の高い都心部を戦略分野とし、当社ならではの総合力を発揮しながら人と環境に配慮した街づくりを進めるなど、質の高い物件の開発を行っています。今後は、国内事業のノウハウを海外へ展開する事に加え、物流ファンドなどにも注力していきます。
オフィスビル賃貸事業では、東京電機大学跡地を含めた神田エリアの再開発や神田錦町三丁目共同建替工事が進捗し、マンション分譲事業では、「CLASSY HOUSE」ブランドの浸透とともに販売が好調に推移しました。総合力を発揮した案件としては、銀座六丁目再開発案件に着手し、クラッシィタワー東中野が進捗しています。また、新規ビジネスとしては、物流ファンド事業に本格進出しました。
当社は、長きにわたり総合ディベロッパーとしてのプレゼンスを発揮してきました。特に晴海アイランド トリトンスクエアなどの複合再開発案件やテラスモール湘南などの大型商業施設案件の実績、ノウハウは高い評価を受けており、都心型の大型再開発事業である「銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業」に参画することとなりました。
「銀座六丁目10地区第一種市街地再開発事業」は、松坂屋銀座店跡地及び隣接する街区で構成された約1.4haを一体的に整備する再開発事業で、2016年11月に竣工予定です。当事業では、東京を代表する国際的な商業・業務・観光拠点を目指し、売場面積約13,900坪の商業施設や、ワンフロア当たりの執務スペースが国内最大規模のオフィス(約11,500坪)、文化施設「観世能楽堂」などから構成される、銀座エリア最大級の大規模複合施設を計画しています。
当社は森ビル(株)、L Real Estate(LVMHグループ)3社で組成した特定目的会社で施設全体の約40%を取得する予定です。
本再開発事業において当社は、複合開発のノウハウを提供することに加え、総合商社として資機材面でのバックアップなど総合力を発揮していきます。また都心の超一等地での事業を通じて不動産業界でのプレゼンスを高め、都心型開発の新たなノウハウ蓄積にも取り組んでいきます。
総事業費: | 約830億円(建物) |
建物規模: | 敷地面積 約9,080m2、 延床面積 約147,900m2、 地下6階/地上13階建 |
建物用途: | 店舗、事務所、観世能楽堂、 地域冷暖房施設、駐車場 |