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2025.11.13
Business
WORLD BIZ+
―現場のリアルに迫るVol.4-
マレーシアで挑むクリニックチェーン事業
CareClinics、施設数No.1のかかりつけ医として
世界各国で幅広いビジネスを展開し、日々汗を流している住友商事グループの社員たち。そんな社員が現場で奮闘するリアルな姿を映し出す、「WORLD BIZ+ ―現場のリアルに迫る―」。今回は、マレーシアでクリニックチェーン事業を展開する「CareClinics」グループを紹介します。
高まる医療ニーズに応えるため、マレーシアのクリニックチェーン事業に参入
近年マレーシアでは、糖尿病などの生活習慣病が深刻な社会課題になっており、高まる医療ニーズに対して、医療サービスの質や供給が追い付かず、必要な医療サービスが十分に提供されないという問題が顕在化しています。さらに医療費の増加により、患者・企業・保険会社の経済的負担も増大しており、病気の重篤化を防ぐための健康管理や「かかりつけ医」へのニーズが高まっています。
住友商事(以下、住商)は、1993年から「トモズ」をはじめとする調剤併設型ドラッグストア事業を国内展開してきました。住商は国内で培った経営ノウハウを生かし、2020年にマレーシアでクリニックチェーン事業に参入しました。
かかりつけ医の担い手CareClinicsの3つの取り組み
はじめに、マレーシアで民間医療クリニックを運営するCareClinics Healthcare Services(以下、CareClinics)へ出資し、その後CareClinicsによる現地クリニックのM&Aを通じて、徐々にチェーン展開を拡大してきました。チェーン展開にあたっては、標準化の仕組みを構築することが、成功のポイントの一つです。住商はCareClinicsを通じて、すべてのクリニックでDXの活用や質の高い医療体制の構築、利便性が高いサービスの提供に取り組んでいます。
DX活用による効率的な運営
マレーシアの多くのクリニックは個人経営で、患者のカルテは紙媒体で記録・保管されています。CareClinicsではすべてのクリニックで電子カルテを導入し、患者の情報を瞬時に検索できるようにしています。さらに、法人顧客からの入金管理や薬の在庫管理、発注管理など、オペレーション全体をデジタル化することで、効率的な運営を実現しています。
質の高い医療体制の構築
CareClinicsには医療サービス向上に取り組む専門組織があり、300人を超える医師のノウハウやベストプラクティスの共有、医師やクリニックスタッフ向けのトレーニングを実施しています。また、クリニック間を巡回するスーパーバイザーが、標準化したチェックリストに基づき、施設やサービスに問題がないか日々確認することで、どのクリニックでも高品質な医療サービスを提供できるよう努めています。
利便性が高く充実したサービスの提供
多くの個人経営のクリニックでは、1人の医師が診察するため、営業日や営業時間が限られています。一方、多くの医師を抱えるCareClinicsでは、各クリニックに複数の医師を配置しているため、24時間営業を含めた長時間営業が可能です。さらに、個人経営のクリニックでは珍しいX線の検査装置や超音波診断装置を導入することで、患者は他の医療機関を受診しなくとも、CareClinicsで必要な検査や診療をすべて受けることができます。
これらの取り組みにより、CareClinicsの施設数は参画当初の18施設から、187施設(2025年8月時点)に拡大し、マレーシアでNo.1の事業規模を有するクリニックチェーン事業へと成長しました。住商は今後もクリニック事業を通じて、個人のクオリティーオブライフ向上に貢献する、サステナブルなヘルスケアシステムの構築を目指します。