グローバル事例
欧州企業と共に中国で石油化学品製造・販売の基盤をつくる
中国/スペイン
産業や人々の生活を広範囲に支えるプラスチックの原料となるのが、石油化学品です。住友商事は30年以上前から、スペインのメーカーが生産する石油化学品のトレーディングを手掛けてきました。さらに2014年には、同メーカーが中国に新設した工場に出資、生産事業にも携わることになりました。素材を安定的に提供し、「地域社会・経済の発展」を支えていくこと。それがこの事業のミッションです。
プラスチックの中間製品を製造する
住宅、自動車、家電製品などには、大量の合成樹脂、いわゆるプラスチックが使用されています。透明で衝撃に強く、かつガラスなどに比べて軽量という性質によって、極めて多岐にわたる領域で人々の生活を支えています。
プラスチックの原料は原油で、それを生成・化学加工し、樹脂とした上で、各種部品などに形成していきます。その工程の中間製品にあたるキュメン、フェノール、アセトンといった石油化学品の製造を長年手掛けてきたのが、スペインのセプサキミカです。住友商事は、30年以上前から同社製品のトレーディングを手掛けてきました。
未知の地域への進出をサポート
以前、プラスチック原料は欧州、米州、アジアの3地域にほぼ同等の規模の市場を持っていましたが、近年になってアジア、とりわけ中国での市場が急速に拡大し、現在ではほぼ世界の3割を占める規模にまで成長しています。セプサキミカが中国国内への工場建設を目指したのは、主要市場に近いところで製品を作ることによるメリットを求めたためです。
しかし、それまで欧州に基盤のあった同社にとって、アジアは未知の地域でした。そこで、かねてからのビジネスパートナーであった当社と協働して中国に進出することになりました。その動きがスタートしたのが2006年のことです。工場の建設地を上海市南西部にある中国最大の石油化学工業区に決定し、工場建設が始まったのは12年。現地法人セプサキミカシャンハイに当社が25パーセントの出資をすることになったのは14年のことでした。
中国市場の拡大に合わせて生産力を上げる
原料調達と製品の販売・物流を住友商事が担い、生産はセプサキミカが担うというビジネスモデルが成立し、2015年4月に工場が完成、いよいよ本格的な稼働のフェーズに入っています。
経済発展が続き、住宅、自動車などの需要がまだまだ拡大の途上にある中国市場の成長スピードに合わせ、今後は生産能力をさらに向上させていくことが必要になります。工場のオペレーションを効率化して生産性を上げるとともに、工場自体も拡張して生産力を伸ばすことによって、中国の経済成長を支えていくこと。それが、今後の当社とセプサキミカの目標です。
2つの国の懸け橋となる
セプサキミカの母国であるスペインと中国とでは、文化、言語、歴史的背景、商慣習などが大きく異なります。同社の30年以上のビジネスパートナーであり、また中国でのビジネス経験が豊富な住友商事が2つの国の懸け橋となることによって成立した事業。それが、この上海における石油化学品製造です。
今後も当社は、総合商社ならではの「つなげる力」と、事業経営のノウハウ、マーケティング力などを駆使しながら、中国における石油化学品の製造と販売の基盤を確立していきます。
2017年05月掲載
キーワード
- 東アジア
- 欧州
- 化学品
- 化学品・エレクトロニクス・農業グループ