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2023.10.1

Business

高品質な農業資材とサービスを世界に届け、食糧の安定生産に寄与する

世界の人口が増え続ける中で、十分な食料を確保するためには、農業資材を上手に活用し、農作物の生産性を上げていく必要があります。住友商事は、日本メーカー等が製造する高品質な農業資材とサービスを世界およそ90カ国に届け、「食」を通じた「地域社会・経済の発展」と「生活水準の向上」に貢献しています。

この記事は2023年3月に公開された内容です

増え続ける人口を支えるツールとしての農薬

日本の人口は減少局面に入っていますが、世界に目を移すと今も増え続けており、現時点でおよそ73億人。これが2030年には85億人、50年には100億人近くに達すると国連は予測しています。人口が増えれば、それだけ多くの食糧が必要とされますが、地球上の耕地面積には限りがあります。農作物の生産量を増やすには、単位面積当たりの収量を上げていかなければなりません。

そこで重要になるのが、農薬の力です。殺虫、殺菌、除草などの効用を持つ農薬を使用せずに農作物を栽培しようとすると、米で24パーセント、小麦で36パーセント、リンゴのような果実に至っては97パーセントも収量が減少すると言われています(農薬工業会発表のデータより)。農薬を上手に活用して農作物の生産性を上げていくことは、世界共通の課題と言っていいでしょう。

ルーマニアのアルチェドを通じ、農薬をはじめ種子、肥料など幅広い商品を農家に直接販売する新たな事業領域に進出した

日本の農薬メーカーは、研究開発力において世界でトップクラスです。世界の農薬メーカーの2024年売上高トップ30社中、日系メーカーは10社を占めており、独自の技術力を活かし、特定作物や用途に特化した製品開発で国際的な評価を得ています。さらに、高品質な農薬を生産しているメーカーも国内に多数あります。

そういった日系メーカー各社が製造する農薬を世界中に届け、農作物の生産性向上に寄与すること。これこそが、住友商事の農薬ビジネスの最大のミッションです。

農業資材のリーディング・カンパニー

畜産業向け資材と農業向け資材の双方を扱うブラジルのアグロ・アマゾニアは、農家の需要拡大を受け店舗数を伸ばしている

当社が日本製農薬の輸出を始めたのは、1970年代のことです。以後、今日まで輸出、さらには海外各国の事業会社を通じて業容拡大を続けてきました。現在、主要農業国38ヶ国に展開する海外ネットワークを通じて、世界110ヶ国に向けて取引をしています。

90年代以降、ビジネス領域を輸出相手国での輸入・卸売りにまで拡大。日系品の農薬を中心に、種子や高機能肥料なども各市場のニーズに応じて柔軟に供給できるモデルを構築しました。

さらに2010年代に入り、海外の農業資材問屋を買収し、農薬をはじめとする農業関連商品を農家に直販するモデル(農業資材直販事業)にも進出しました。同ビジネスモデルのもと、11年、15年、18年にそれぞれルーマニアのアルチェド、ブラジルのアグロ・アマゾニア、及びウクライナのスペクターを子会社化。24年にはアルチェドを通じてルーマニアのナチュレボを買収、また同年11月にはベトナムにおける農業資材販売会社であるホップトリ社に出資参画しており、事業規模を拡大しています。

日本のメーカーが製造する高品質な農薬を海外に輸出し、現地で輸入・卸売業を手掛け、さらには農家に直販するチャネルも構築する──。農薬のバリューチェーンの川上から川下に向けて事業を拡大してきたのが、過去50年あまりの住友商事グループの農薬ビジネスの歩みです。

バリューチェーン全体で発揮されている強み

日本国内においては大半の主要メーカーから農薬を仕入れるネットワークを持ち、海外においては総合商社ならではの輸出網をフルに生かして世界中に日本製の農薬を届けることができる。さらにバリューチェーンの川下においては、住友ブランドが持つ信用力、ファイナンス力、および事業のオペレーション力などを発揮して、卸売事業、小売事業を展開することができる。それが、この事業分野における住友商事グループの強みです。

今後は、農業/畜産分野においてもIoT(Internet of Thingsの略。モノのインターネットの意)の導入や、データを活用した生産性とトレーサビリティの向上、環境負荷低減に資するバイオテクノロジー技術の発展が進むとみています。例えば、農業分野における衛星やドローンを用いた生育管理と資材や水資源利用の最適化、畜産酪農業におけるゲノム検査や飼料添加物技術の高度化による病害耐性の改善などが実現されようとしています。そのような最新テクノロジーにも目を配りながら、関連する事業部署や社外パートナーとも連携し、農家を力強くサポートしていくこと。それが、農薬も含めた当社の農業資材ビジネスの一つの目標です。

バルセロナ大学や国内外の研究機関との技術提携など、研究開発に強みを持つバイオ農薬メーカーのフツレコ

一方、川上においては一層の販売力強化に向けて、日系農薬商品を補完しつつ、商品ポートフォリオを拡充する動きも既に始めており、17年にスペインのバイオ農薬メーカーであるフツレコ、24年にチリのバイオ農薬製造・販売会社であるビオ・インスモス・ナティーバ、25年に米国のバイオ農薬・肥料販売会社であるディーピーエイチバイオロジカルズへ各々出資し、バイオ農薬・肥料分野における当社の事業基盤強化を図っています。

農業資材のバリューチェーン全体を通じて世界規模での食糧安定供給に寄与し、「食」という人間活動の根本を支え続けていくために、住友商事はこれからもチャレンジを続けていきます。

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