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2023.10.1

Business

電子機器の製造業界に、高い付加価値のEMS事業で貢献

住友商事グループのスミトロニクスは、自動車、電化製品、医療機器などに搭載される基板の受託生産を行う企業です。製品企画、部品調達、基板実装、完成品組立までのバリューチェーンを構築し、確かなものづくりの力によって「地域社会・経済の発展」に貢献しているスミトロニクスの事業をご紹介します。

この記事は2023年2月に公開された内容です

セットメーカーのパートナーとして

スミトロニクスは、電子製品を製造するセットメーカーから製品の内部に搭載される、実装基板等の受託生産を専門に行うEMS(Electronics Manufacturing Service)業態の企業です。自動車やオフィスの多機能複写機、プリンター、家庭用エアコン、医療機器など多岐にわたる製品に搭載される電子部品実装基板を手掛けています。

電子回路が組み込まれた基板上に、半導体など複数の電子部品が機械や一部手作業により搭載された実装基板は、電子機器の性能を左右する心臓部です。

スミトロニクスは、エレベーターやエスカレーター、銀行のATMなどの産業機器、急速にエレクトロニクス化が進む車載機器向けの基板も製造し、オフィスや商業施設、輸送機器、公共施設でも活躍しており、セットメーカーにとって不可欠なパートナーとして高く評価されています。

プリンターの内部に組み込まれている基板

専門商社からEMSへと業態を変える

機械実装が出来ない部品を手作業で組み立てる

スミトロニクスの設立は1988年。当時、日本の製造業が東南アジアなど海外に生産拠点を移す動きが活発化していました。それに応える電子部品の専門商社として、住友商事がシンガポールに設立したのがスミトロニクスです。当初は、セットメーカーの要求に応じて必要量の電子部品を仕入れて販売するビジネスが中心でした。

電子部品の調達を行う過程で、次第に数種類の部品をまとめて調達することが求められるようになり、さらに部品調達に加えて、「基板の上に実装して納品して欲しい」と顧客の要望が変わっていきました。そこで、95年タイでプリンターとエアコンの基板実装を行う合弁会社を設立し、EMSを開始。その後フィリピン、インドネシア、香港、上海、米国、メキシコ、カンボジア、2020年にはベトナムと拠点を広げ、顧客の求める「グローバル化対応」を行ってきました。

商社出身ならではの情報力と調達力

今では60兆円規模ともいわれるEMS市場も、スミトロニクスがEMSを手掛けたころは、EMSという言葉はなくアウトソーシングと呼ばれていました。その中でスミトロニクスは試行錯誤を重ねながら自らビジネスモデルを築き上げ、それが結果としてEMSという業態になりました。

欧米ではメーカー系EMSが一般的であるのに対して、住友商事グループのスミトロニクスは商社系EMS。この違いが、スミトロニクスにとっては大きな付加価値につながっています。

スミトロニクスは出資先7工場(インドネシア、アメリカ、タイ(2工場)、フィリピン、カンボジア、無錫)と、出資を伴わない提携工場約25社を組み合わせることで、最適な生産体制を構築しています。それぞれの工場は、国によって法規制や習慣が異なり、対応を誤れば大きなトラブルが起きかねません。環境対応も同様です。グローバルに活躍する総合商社をバックボーンとし、情報力に優れたスミトロニクスは、このような現地事情に細かく対応できるノウハウを持ち、スムーズに工場ラインを稼働させることが大きな強みです。

1,300平方メートルの温度管理された倉庫で部品を管理(スミトロニクス・タイランド)

また、部品の調達力にも強みを持っています。取り扱い数は約5万種。電子部品のサプライヤーは日本国内と海外を合わせ約1,500社にのぼります。ある部品が1つ欠けただけで、基板を製造できないこともある電子部品の世界では、どんなサプライヤーからでもすぐに部品を調達できる力が重要です。スミトロニクスでは特定サプライヤーの代理店ではなく、かつ専門商社として部品の調達を行っていたころからの信用があるため、大きな部品メーカーから特殊部品専門会社まで、どこからでも部品を調達することが可能です。この「必要な部品をきちんと揃え、管理する力」=「SCM管理力」こそ、スミトロニクスが日系EMSでトップレベルの地位を築いた原動力なのです。

重点分野を絞り、さらに機能を高度化

最新設備を導入した実装ライン(メキシコ工場)

コストのみが製品の差異化要因になるコモディティ製品群においては、中国、台湾、韓国および新興国メーカーが台頭してきています。日系メーカーの強みは、エレクトロニクスとメカの摺り合わせによる細かな調整力や、精度合わせから生まれる高品質、長寿命と安全性が確保される製品群にあります。スミトロニクスは、日系メーカーの技術的優位性が発揮できる車載や産業機器、通信IT、医療機器、OA機器などを重点分野としています。

一方、厳しいグローバル競争の環境下にあるセットメーカーは、自社製品の付加価値づくりにますます特化するようになり、EMSにも設計などの上流工程や完成品組立などの下流工程での協力が求められています。

住友商事には、開拓した先端材料を使い、省エネ・省資源に資する製品作りのためのソリューションを提供する機能があります。スミトロニクスのプラットフォームを基に、車載用LEDやSiC(シリコンカーバイト)を採用したパワー半導体の製造など、新しいサービスの提案を行い事業領域を広げています。

先端材料の提案による製品企画から部品調達、基板実装、完成品組立まで、エレクトロニクスのバリューチェーンと機能の拡大・高度化による「ものづくり力」により、EMS企業を競争力強化のためのパートナーと位置付ける顧客の期待役割に充分応えられるEMS企業へ成長しつつあります。

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