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2024.12.12

Culture

なぜ今、教育なのか?住商の社会貢献活動「100SEED」が広がり続ける理由

創立100周年を機に、2019年からスタートした住友商事(以下、住商)の社会貢献活動プログラム「100SEED」。SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」をテーマに、国内のみならずグローバル規模で活動を広げています。このプログラムの背景や意義について、サステナビリティ推進部の輪玉衣里と、日本独自の活動「Mirai School」に3年連続で参加している長野展宏が語り合いました。

  • カナダ住友商事 カルガリー店長

    長野 展宏

    1997年に住友商事へ新卒入社。海外でのインフラ事業やエネルギー鋼管ビジネスを中心に、幅広い事業に携わる。入社後3年間でウクライナとチェコへの長期出張を経験し、その後もミャンマー、中国、ロシア、UAE、カナダと、6都市5カ国に駐在。出張40カ国以上。24年11月から現職。

  • サステナビリティ推進部

    輪玉 衣里

    2020年に住友商事へ新卒入社。広報部にて株主通信やグローバル社内報制作、ブランディング関連業務に従事。23年から現職。

創業時から変わらぬ精神で、100年後の未来を見据える

まず「100SEED」が立ち上がった背景と、活動内容について教えてください。

輪玉 2019年に住商は創立100周年を迎えました。次の100年に向け、社員が話し合い、グローバル規模で社会課題の解決に取り組んでいくことを決意し、発足したのが100SEEDです。世界中のグループ社員が話し合った結果、「あらゆる社会課題解決の土台になるのは『教育』」との意見にまとまり、活動のテーマはSDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」となりました。具体的な活動は、住商グループの各組織がそれぞれの地域における社会課題を踏まえて検討し、企画・運営しています。

長野 なぜ、住商が教育の分野で活動するのか、と思う方もいるかもしれません。でも、私たち社員は、実はそこまで違和感を抱いていないんですよ。なぜなら、住商の根幹には17世紀の住友創業以来、400年にわたって受け継がれてきた「住友の事業精神」があり、目の前の社会課題と向き合い、その解決を通じて事業を発展させてきた歴史があります。そうした精神が私たち社員の中に根付いているからこそ、100年後の未来を見据えた今、どんな分野にも欠かせない「人」を育てること——すなわち教育にフォーカスすることが必要だと、多くの社員が考えたのです。

各国で活動内容が異なるとのことですが、どのような活動を行っているのでしょうか。

輪玉 日本では、社員が教育現場へ出向いてキャリア教育支援を行う「Mirai School」、海外ルーツの子どもたちをサポートする「多文化共生社会を目指す教育支援」、教育課題に取り組む団体をサポートする「教育支援プロボノ」の三つを柱に展開しています。海外では、農村部の小学生の教育環境改善(タイ)、水不足地域の学校に水をもたらす回転遊具の設置支援(南アフリカ)、子どものデイケアサービス支援(ブラジル)など、各国の事情や課題によって、多様な活動に取り組んでいます。

未来を担う中高生に、キャリアを考えるための時間を

日本の活動の中でも、活動が拡大しているというMirai Schoolについて詳しく教えてください。

輪玉 次世代を担う中高生一人一人が自らの将来・キャリアを考え、自身の“未来を切り開く力”に気づき、大きく羽ばたくきっかけとなる時間を提供する活動です。具体的には、多種多様なバックグラウンドを持ち、総合商社ならではのグローバルフィールドで働く経験を持つ住商のグループ社員が講師となり、その人生・キャリアを率直な言葉で、臨場感を持って伝えています。全国各地の都道府県より、数多くの新規申し込みとリピート希望をいただく中、これまで147校で授業を実施し、参加した社員はのべ392人にのぼります。

長野 私は、22年から3年連続で講師として参加しています。住商に入社して28年目、会社生活の3分の2は海外に駐在していた経験から、商社の仕事のダイナミックさや、各国で住商が果たしている役割などを交えて話をしました。

特に伝えたかったのは、「もっと外の世界に出て行ってほしい」「五感で判断することを大切にしてほしい」ということ。外の世界を知るのは機会を広げることにもつながりますし、もし地元で何かを始めるにしても、新しい視点を与えてくれるはず。また、最近はインターネットで簡単に情報収集ができてしまいますが、それをうのみにするのではなく、自分の耳や目、肌で感じることを大切にしてほしいんです。

輪玉 講師である社員には、授業を通して「変化の激しい時代に何を大切にしているか」「学校生活と仕事がどのようにつながっていくのか」を重点的に伝えてもらっています。「人生グラフ」を用いながら、学生時代から現在までどんな経験をしてきたのか、成功経験だけではなく失敗経験も含めて赤裸々に話してもらうことで、将来を考えるきっかけにしてもらえればと思っています。

長野 私の場合は、サッカー選手になりたくて強豪校へ入学した経験をお話ししていますね。上手な選手がたくさん集まる中、箸にも棒にもかからずに挫折したんです。そこから立ち直れたのは、仲間の存在があったからでした。ある生徒から「仲間はどうやってつくるんですか?」と質問をいただいたのですが、私は「逆境でも楽しそうにしていれば、自然と人が集まってくる。だから、くじけることなく一生懸命に楽しもう」と答えました。後日、「もし自分が逆境にあっても、楽しむことを忘れないようにしたい」との感想をもらい、思いが通じたのだと感激しましたね。

輪玉 授業後に時間が許す限り、中高生と車座になって対話する座談会を設けているのも、Mirai Schoolの特徴です。私も一度、講師として参加しましたが、思っていた以上にたくさんの質問を受けて、中高生の皆さんの熱意に驚きました。親、先生、友人といった身近な立場ではないからこそ、生徒が率直に胸の内を語ってくれることもあります。だからこそ、講師となる社員は、生徒の悩みや迷いもしっかりと受け止め、一人の人間として誠実に向き合い、真摯に対話しているのだと思います。どの社員も生徒からたくさんの元気をもらって、見違えるような生き生きとした姿で帰ってきます。長野さんのように、リピーターとして参加してくださる方も多いですね。

長野 私がMirai Schoolに参加して最も強く感じたのは、「入社してから今まで、自分は本当に多くの人に支えられてきたんだ」という、感謝の気持ちでした。がむしゃらに働き続けていると、立ち止まって振り返るのはなかなか難しいですが、原点からキャリアを見つめ直し、その時々で支えてくれた人たちの存在を思い返す貴重な機会になりました。生徒から「僕も勇気を持って飛び込みたいと思いました」「『世界は自分を楽しませるためにある』という言葉に感動しました」など、目頭が熱くなるようなコメントをたくさんいただき、「これからますます頑張ろう」と力をもらいましたね。中高生の真っすぐな気持ちに、未来を開く力を感じざるを得ませんでした。

住商ならではの社会貢献活動として、世界中に広がっていく

当初、100周年を機に立ち上がった100SEEDの活動が、今なお広がり続けているのはなぜなのでしょうか?

輪玉 ありがたいことに、Mirai Schoolへの応募校は年々増えていますし、講師として参加したいという社員の声もたくさん届いています。グローバル拠点も含め、100SEEDのその他の活動も順調です。社会のリアルなニーズと合致した活動であり、参加した社員が皆、未来につながる取り組みだと実感しているからこそ、継続し拡大しているのだと思います。100SEEDは住商グループの長期目標「良質な教育の提供による未来を担う人づくり」に向けた取り組みであることも、大きな理由ですね。

最後に、今後の展望や目標などについてお聞かせください。

輪玉 私自身100SEEDに関わって分かったのは、まさに“Enriching lives and the world”を体現する社会貢献活動プログラムであるということです。参加した社員は子どもたちへの支援を通じて、自分自身も学び、ともに働く仲間にも良い影響を持ち帰ってくることができていると感じています。事業活動からはアプローチしきれない「教育」の分野で社会貢献できる貴重な機会であり、自身の成長にもつながる活動であることから、より多くの社員に参加のきっかけを提供すべく、日々企画・運営を行っています。

例えば、教育に関連する社会課題に精通した講師を招待し、オンラインで実施する参加型セミナー。参加した社員も、社会課題の解決に向けてアイデアを提供します。忙しい社員でも短時間で参加できることから、好評を得ています。活動開始当初から、1人あたり年間100時間まで100SEEDの活動に業務時間を充てることができる制度を設けていますが、このほかにも、社員が参加しやすくなる制度や環境を整えていきたいですね。

長野 教育だけではなく、社会との共生をテーマにした企業活動は、今やビジネスと深く密接しています。 もともと住商の事業は、物を売る側・買う側で切り分けるのではなく、「すべての関係先(ステークホルダー)がパートナー」という考え方で行われてきました。つまり、単に事業利益を追求するのではなく、事業を行う国や地域の課題を解決しようと努力する姿勢を含めて、総合ソリューションを提供することが評価されてきたんです。

実際私自身も、海外出張で100SEEDの話をしたとき、「そうした活動に取り組む企業だからこそ、住商と一緒に仕事がしたいんだ」と言っていただきました。このようなビジネス面での意義の大きさを考えても、会社全体として100SEEDへの参加意識を醸成することが、ますます重要になるはずです。この活動を通して、住商の存在が社会にとってもパートナーにとっても、かけがえのないものになればうれしいですね。

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