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2023.12.8

Culture

【28年目のリスキリング】学び直しでMBAを取得した住商社員のキャリア

「人生100年時代」と言われて久しい中、働きながら「学び直し」を選択する人も少なくはありません。住友商事 災害・安全対策推進部の細井千秋は、ライフシフトの概念に触れたことをきっかけに、自らの意志で大学院に通い50歳でMBAを取得。本記事では、「学び直し」による仕事への影響や自身のキャリア形成について話を聞きました。

  • 災害・安全対策推進部 労働安全チーム

    細井 千秋

    1993年入社、鋼管貿易第一部(当時)配属。アジア太平洋州向けの配管の輸出業務からキャリアをスタート。2022年2月に災害・安全対策推進部に新設された現部署に異動、現在に至る。2年間、業務のかたわら大学院に通い23年3月にMBAを取得。ライフシフトプランナー初級の資格も取得。

「ライフシフト」を知って、人生が動き出す

細井さんのキャリアについて教えてください。

入社してからの30年、そのほとんどで鋼管の貿易実務に携わってきました。貿易実務のほか、金属事業部門のシステム入れ替えや新規事業開発、事業会社管理なども担当し、昨年2月に初めて鋼管業務を離れ、災害・安全対策推進部に異動。現在は、住友商事が所管する事業会社における労働安全推進業務を主に担当しています。

大学院でのMBA取得に至る、細井さんの「学び直し歴」について教えてください。

きっかけは、2020年の夏、45歳以上を対象とした人事部主催の「キャリアデザインセミナー」を受講したことです。そこで、ライフシフトの概念に初めて触れました。これは、長寿化の進行により、これまでの教育、仕事、老後の3ステージ型人生から、人生の節々で多様な選択を可能にするマルチステージ型人生へと生き方を変えるという考え方です。人生100年時代、100歳まで生きるとすれば、60歳定年後から死ぬまでまだ40年もあるのです。100歳まで生きることを前提として考えるならば、60歳から先を老後にしてしまうのは、やや無理があるのではないか。この先の人生をどう生きるかを模索するうちに自分の中の価値観が変容し、働く中身や働く場所をシフトしながら、ずっと働き続けてもいいんだと思えるようになりました。

ライフシフトをもっと深く学びたいと思った私は、その秋から約半年間、ライフシフト大学(※)で学びました。その後、講師のつながりで多摩大学大学院のMBAコースに進み、2年間の学びを経て今年3月に卒業しました。22年にはライフシフトプランナー初級の資格を取得しています。

※人生100年・仕事人生80年を見据えたキャリア形成を支援し、学び直しの場を提供するプログラム

50歳にしてMBA取得に挑戦

ライフシフト大学と多摩大学大学院ではどのようなことを学びましたか。

ライフシフト大学では、平日の夜や土日に行われるオンライン授業と各自が好きな時間に受講するe-learningがありました。一緒に参加した同期は15人。40〜50代の方が中心で、そのメンバーとは、読書会などで今も交流があります。 カリキュラムは、価値観の洗い出しや自分の強みを発掘するテスト、マーケティングやコーチングの授業もありました。最後は3つのテーマのグループにわかれ、まちづくりや商品拡大など企業から出された経営課題について分析し、ビジネスプランを作成・発表するというグループ演習を行いました。

ライフシフト大学の講師に誘われて、そのまま大学院へ。卒業には30単位が必要なのですが、自費で参加したのもあり可能な限り多くを学び取りたいと思い、土日はもちろん平日も週4回ほどオンラインを中心に受講していました。予習・復習や修士論文執筆のための研究の時間も加えると、勉強時間は2,000時間にのぼるものでした。結果、73単位を履修、「ルール形成戦略専門」と「ソーシャルインパクトビジネス専門」のダブルメジャーを取得しました。

仕事や家庭との両立をどのように図ったのでしょうか。

職場では、学び直しをしていることは共有していました。特にMBA取得となると、平日も定時で上がる必要がありましたから周りの理解があってできたことだと思っています。 当時の環境も、学ぶ決断を後押ししてくれました。コロナ禍で原則リモートワークになって仕事を早朝から開始するなど時間の調整がつきやすくなり、また趣味の観劇は公演中止となっていたため、時間に余裕がありました。

家族は当初、「今さらそこまでやる必要あるの?」と冷めた雰囲気でした。ただ、実際に学び始めてからは、夫と大学生の2人の娘に家事などで十分サポートしてもらえたのでとても感謝しています。「わが家は女子大生が3人です」というのを、自己紹介の常とう句にしていました(笑)

大学院での学びが異動を後押し

こうした学びは仕事にどのような変化をもたらしましたか?

それまで職場環境も良く、特に業務に関して不満を感じることはありませんでした。しかし大学院で学び始めてから、多様な価値観を持つ意欲ある人たちとの出会いを通じて、ずっと変わらないキャリアに、初めて不安を感じるようになりました。大学院に入学した年の会社のキャリアアセスメントで、「今の仕事から変わりたいか」という項目に初めて「○」をつけたのです。住友商事という会社も仲間も大好きなので退職する選択肢はありませんでしたが、コーポレート部門で会社全体を見てみたいと思うようになり、それが昨年冬の異動につながりました。MBA取得のために必須の論文も労働安全を研究テーマに選び、業務の視点を自分なりに深めることができたと思います。

一方で、大学院でせっかく身につけたスキルをまだまだ会社の業務に活かしきれていないという歯がゆさも感じています。インプットはたくさんしてきたので、これからはアウトプットが課題だと思っています。

その時しかできない学びを

なぜ、自分の時間とお金を掛けて学び直しの一歩を踏み出すことができたと思いますか。

意識が変わった最初のきっかけは、自分でもあきれてしまうくらい小さなことだったんです。7〜8年前の新年の占いで「みんなで騒ぐと楽しい1年になる。誘われたら断らないのが吉」と書いてあって。飲み会もだんだんおっくうになってきて断ることが増えていたのですが、断ることをやめてみようと。それがずっと続いてきて、学び直しの機会もうまくつかまえることができたのだと思います。

人は新しいことに挑戦する前に、「お金がない」「時間がない」など、できない理由を探していることが多いと思いませんか。しかし実際には、それらの理由が障壁になっているケースは少ないと思います。時間は探せば見つけられるし、多少失敗したとしてもリカバリー不可能なほどでもない。そう切り替えることが大事なのかもしれません。何より、自分の時間とお金を何に使うかによって人生の充実度は変わります。人生とは、時間とお金を何に費やしたかの結果でしかないと。

では、もっと若いうちにやっておくべきだったかと言われたら、子どもが小さい時にMBAを取ることは私には難しかったと思います。当時はその時しかできない子育てという学びがありました。その時々で自分が一生懸命できること、学べることが必ずありますし、学ぶ内容に上下はありません。その時に、「良い学びができた」と思えるような毎日を過ごしていければと思っています。

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