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【超図解】地球温暖化対策の切り札？世界に広がる巨大な蓄電池

2025.1.17

Business

【超図解】地球温暖化対策の切り札？世界に広がる巨大な蓄電池

#再生可能エネルギー #カーボンニュートラル #社会課題の解決

Index

part.1 蓄電池とは。「今なぜ注目されているの？」
part.2 再生可能エネルギーをいかすために
part.3 動き出した蓄電事業
part.4 住友商事の取り組み

超図解「地球温暖化対策の切り札？」世界に広がる巨大な蓄電池

蓄電池のイラスト

たくさんの電気を貯める巨大な蓄電池が世界各国で増えている。再生可能エネルギーの普及を後押しし、地球温暖化にストップをかける切り札になるかもしれない。

part.1 蓄電池とは。「今なぜ注目されているの？」蓄電池はいまの社会で欠かせない製品。

昔ながらの乾電池やリチウムイオン電池に加えて、最近はスマートフォンや電気自動車など、身近な暮らしのなかで使われている。スマートフォン、ノートパソコンのイラスト

電気自動車のイラスト

ここ数年、さらに巨大な蓄電池が注目されている。太陽光発電所や風力発電所などでつくった電気が、工場やオフィスなどで消費しきれずに余った場合に貯めておく、「電気の貯金箱」のような装置だ。電力系統システム発電所・送電線・変電所・配電設備の総称

電力系統システムのイメージ図

系統蓄電池　電力系統に直接接続される巨大な蓄電池　なぜ巨大な蓄電池が求められているのか？

電気は水やガスと違って貯めるのが難しいからだ。いまの発電や送電の仕組みだと、使う量と発電する量を常にほぼ同じにしなければならない。同時同量の原則（消費量/需要と発電量/供給の需給バランス）

需給バランスが壊れると…需要<供給（消費量減少　発電量増加）需要>供給（消費量増加　発電量減少）

大規模停電が起こる可能性も…

蓄電池があれば需給バランスを保ちやすくなるので大規模停電の心配は小さくなる。

必要な時に放電　余剰分を蓄電

part.2 再生可能エネルギーをいかすために

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは増えつつある。しかし一般送配電事業者が地域ごとに必要な電気の量と発電量と需要量のバランスを調節していて、

再生可能エネルギーの発電が止められることがある。

「たくさん発電できそう！」太陽光発電バランス調整のため発電抑制

蓄電池を使用しない場合［電力需給イメージのグラフ］需要を上回るため太陽光発電を抑制（廃棄）

「発電量が不安定」「余剰分が捨てられる」「再エネの導入量が増えない」せっかく増えつつある再生可能エネルギーの普及が、発電量の抑制によって阻まれている。

太陽光や風力は時間帯や天候によって発電量が変わるので調整しづらい背景があるけど、せっかく発電した電気を捨てるのはもったいない。蓄電池が増えれば…

蓄電池を導入した場合［電力需給イメージのグラフ］余剰電力を有効利用

「発電した分を安定活用できる」「余剰分を貯められる」「再エネの導入量が増える」再生可能エネルギーを普及させれば、地球温暖化の加速を抑え、猛暑やゲリラ豪雨、水害などを防止できるかもしれない。

再生可能エネルギーの普及と温暖化対策の一手としても巨大な蓄電池が注目されている。

part.3 動き出した蓄電事業

国内で巨大な蓄電池の普及が加速している。

［系統蓄電池の導入見通しのグラフ］2023年時点で巨大な蓄電池の導入の検討を申請している事業者全体のなかで、10％が導入すれば2030年には総容量が約14GWhに膨らみ、20％に広がれば約2倍まで成長する見通し。

プチ解説 1GWhの発電量＝一般家庭約10万世帯が一日に使う電力 ※1日あたりの世帯消費電力量を10KWhとした場合

その背景には、蓄電池の技術進歩に加え、東日本大震災後のエネルギー見直しや、太陽光発電や風力発電の需要を超えた供給量を活用するための市場や制度の見直しがある。世界ではさらに先行して導入されている。

［世界全体の蓄電池の導入容量の推移のグラフ］

先進地はオーストラリアの南オーストラリア州。

2007年に再エネ100％を掲げるも、16年に全州停電が発生。

メガワット規模の蓄電池設置で23年には年間のうち180日で再エネ100%利用を達成した。

中国は世界で最も多く蓄電池を導入。既に相当量が導入されているイギリスを中心とした欧州をはじめ、米国や韓国など多くの国々で巨大な蓄電池の設置が進んでいる。［巨大蓄電池に関連した動きのある主な国］アメリカドイツイギリスイタリアチリ中国韓国オーストラリア

蓄電池が普及すると、私たちの暮らしがより良いものになる可能性が高い。

生産された電気を無駄なく使うことができ、地球環境にやさしくなる。

需給バランスの調整を助けることで、電気代が安くなるかもしれない。災害時に停電が起きた場合も、電気を使うことができそうだ。

part.4 住友商事の取り組み

住友商事は大きな蓄電池をつうじてエネルギーインフラの新時代を切り開こうとしている。

2023年、北海道千歳市に約2500世帯が1日に使う電力を貯めることができる蓄電池を設け、本格的な事業に乗り出している。

EVバッテリー・ステーション千歳　約2500世帯が一日に使う電力（容量23MWh)を貯められる

電気自動車の使用済みバッテリーを数百個単位でつなげた「バッテリーステーション」を新設。北海道を設置先に選んだのは、風力発電や太陽光発電がさかんな地域のため。

蓄電池を北海道電力の送電線につなげ、再生可能エネルギーを家庭に安定供給できるように大きな一歩を踏み出した。

国内でいち早く商用化を実現できたのは、長年にわたる地道な事業モデル開発の歴史がある。

2014年大阪・夢洲で大型EVリユース蓄電池システム実証実験開始。電気自動車から回収したバッテリーを再利用した世界初の取り組み。

2015年鹿児島・甑島

鹿児島県薩摩川内市・甑島で大型蓄電池の送電線への接続に成功。九州電力送配電との共同実証による国内初の事例。

2022年福島・浪江　福島・浪江でＥＶバッテリーステーションを開設。太陽光発電で生み出される再エネと工場需要を直接バランスさせ、充電や放電を最も効率的に制御するシステムを開発。

福島・浪江ＥＶバッテリーステーションのイメージ図

EVバッテリー・ステーション　Scalable 高出力・大容量 Swappable 電池交換式 Speedy＆Safety 短工期・安全性

北海道で開始した事業を皮切りに、住友商事は全国展開を進め、

2026年度までに累計で100MW、

2030年度には500MW以上の蓄電事業をめざしている。

巨大な蓄電池を増やすことで、再生可能エネルギーを安定して供給できるネットワークを広げ、これまで以上に持続可能な社会づくりに貢献し、脱炭素化の加速をめざしている。

蓄電池のイラスト