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2026.6.23
Business
再生可能エネルギーで社会を変える。住友商事の多角的なエネルギービジネスを紹介
カーボンニュートラルの実現に向け、世界中で導入が加速する「再生可能エネルギー」。かつては「コストが高い」「天候に左右され不安定」といった課題も指摘されましたが、技術革新と社会ニーズの変化により、今や経済成長と環境保全を両立させるための不可欠なインフラへと進化しています。
住友商事(以下、住商)は発電所を建設するだけでなく、長年の実績や最新技術を生かして不安定な再生可能エネルギーの需給を最適に制御し、安定して使える電力へと転換することで、持続可能な社会の基盤を築いています。
この記事では、再生可能エネルギーの基礎知識や導入するメリットのほか、住商が取り組む多角的なエネルギービジネスの事例を紹介します。
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監修
諸富 徹(もろとみ とおる)
京都大学公共政策大学院教授。1993年同志社大学卒、1998年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。環境経済学・財政学の第一人者であり、「環境と経済の統合」を提唱。政府の中央環境審議会委員や、経済産業省、東京都の専門家委員を歴任し、脱炭素政策の策定に深く携わる。主著に『資本主義の新しい形』『電力システム改革と再生可能エネルギー』など。再エネを新たな経済成長のエンジンと捉える鋭い知見で、産官学から厚い信頼を得ている。
脱炭素社会のカギ、再生可能エネルギーとは?
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった、自然界に常に存在し、一度利用しても比較的短期間に再生が可能で、枯渇しないエネルギー源を指します。発電時に二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスをほとんど排出しないため、地球温暖化対策の切り札として位置づけられています。
なぜ今、再生可能エネルギーが必要とされているのか、その理由は次のとおりです。
再生可能エネルギーへのシフトが加速しているのは、2015年に採択された「パリ協定」が転換点といえます。「パリ協定」とは、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保つとともに、上昇幅を1.5度に抑える努力を追求する国際的な約束です。
この目標達成には、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現が不可欠となりました。これを受け、日本を含む各国が「2050年までのカーボンニュートラル実現」という目標を掲げ、その達成に向けた取り組みを本格化させています。
化石燃料の多くを海外に頼る国々にとって、自国で生成できる再生可能エネルギーは、エネルギー自給率を向上させる重要な手段です。国際情勢の変化によって燃料価格が高騰したり、供給が不安定になったりするリスクを抑え、エネルギーを安定的に確保することは、国の「経済安全保障」に直結します。資源を外に頼らず、自然の力を活用して国内でエネルギーをまかなう仕組みづくりは、将来にわたって持続可能な社会基盤を築く上で、重要な意味を持っています。特に地政学リスクなどに端を発する燃料価格の高騰が続く現在、外部環境に左右されない国産エネルギーの確保は、企業・国家双方にとって切実な課題となっています。
かつては高価だった再生可能エネルギーですが、近年の技術革新と量産効果により、発電コストは劇的に低下しました。太陽光や風力は、一度設備を設置すれば発電のための「燃料費」がかからないことが最大の利点です。現在、欧州や中国を中心にグローバルに導入が加速しており、投資額も右肩上がりを続けています。もはや再生可能エネルギーは一部の特別な電源ではなく、経済的にも合理的な「次世代の主力電源」として、各国での導入が進んでおり、このコスト低下という強力な後押しによって、今後はさらに社会の不可欠なインフラとして、広く定着化していくことが確実視されています。
企業が再生可能エネルギーへ切り替える3つのメリット
ここでは、企業が再生可能エネルギーを導入・推進するメリットを紹介します。
持続可能な経営を目指す企業にとって、温室効果ガスの排出削減は避けて通れない課題です。再生可能エネルギーへの切り替えは、国際的なイニシアチブである「RE100」の達成や、サプライチェーン全体での排出量削減要求に応えるための有効な選択肢の一つとなります。
また、CO2排出量を抑え、気候変動対策を具体的な行動で示すことは、リスク軽減だけでなく、企業としての「環境価値」を高めることにも直結します。ここでいう「環境価値」とは企業競争力を左右する目に見えない資産としての価値のことです。近年、上場企業を中心に「サステナビリティ情報の開示」が義務化されるなど、自社での取り組みを定量的に示すことは、企業の社会的責任(ガバナンス)の根幹を成しているといえます。
エネルギーの自給率を高めることは、経営の安定性を強固にする重要な戦略です。化石燃料の価格は、国際情勢や市場の動向によって変動するリスクをはらんでいます。一方で、再生可能エネルギーの自社による確保・活用は、燃料価格の変動に左右されづらい安定した電力調達を可能にします。初期の導入コストは考慮すべき点ですが、中長期的な視点で見れば、エネルギーコストの見通しが立てやすくなり、将来的な調達リスクを分散させる備えになるといえるでしょう。
脱炭素への取り組みは、今や投資家や顧客、取引先から選ばれるための重要な評価基準となっています。再生可能エネルギーを積極的に導入する姿勢は、社会課題の解決に貢献する企業としての信頼を獲得し、ESG投資の呼び込みやブランドイメージの向上に寄与します。また、脱炭素を前提とした新しい製品やサービスの開発は、変化する市場環境における競争力の源泉となり、持続可能な社会における新たなビジネスチャンスを切り拓くカギになるといえるでしょう。
住商の再生可能エネルギー事例:「地域」を照らし、「ビジネス」を動かす挑戦
住商は、再生可能エネルギーの開発・普及において「地域との共生」と「電力の使いやすさ」を軸に、多角的にアプローチしています。ここでは3つの事例をご紹介します。
住商は、土地の特性と顧客のニーズに合わせ、大規模なメガソーラー開発から身近な店舗での活用まで、多様なスケールで太陽光発電を展開しています。その中から、2つの事例を紹介します。
住商は、東日本大震災の津波被災地となった沿岸部の2拠点で、東北最大級の太陽光発電所を運営しています。約150ヘクタールの敷地に合計約92メガワットの発電設備を設置し、一般家庭約3万世帯分を発電。地元雇用の創出やドローン点検技術の導入、伝統行事への協賛など、地域と対話を重ねながら、ともに歩む「復興のシンボル」としての役割を担っています。
この事業の背景には、南相馬市が震災後に策定した「再生可能エネルギー推進ビジョン」があります。震災からの復興を進める中で、地域の将来像の1つとして再生可能エネルギーの活用を打ち出した同市の方針と歩調を合わせる形でスタートしました。発電所の建設にとどまらず、地域の志に共感し、未来を共につくるという想いが、事業の原点となっています。
事例について詳しくは、こちらのページをご覧ください
「オンサイトPPA(Power Purchase Agreement/電力購入契約)」は、企業が所有する建物の屋根や駐車場を有効活用して太陽光発電設備を設置し、発電した電力をその企業自身が長期的に購入・活用する契約形態を指します。企業の脱炭素を強力に支援する手法として、住商が注力している事業の1つです。例えば、住友商事が出資する事業会社を通じて、全国のイオンモールの屋外駐車場にソーラーカーポートを導入する包括的なオンサイトPPA契約を締結。発電したクリーンな電力は施設内で直接活用されるほか、施設利用者に向けては雨除けや日除けになるなど利便性の向上も実現しています。
住商の強みは、こうした立地上の制約を解消する柔軟な対応力に加え、事業の「出口」まで責任を持つ姿勢です。太陽光パネルの導入提案から資金調達、施工、運営、さらには将来的なリユース・リサイクル事業の検討までを一気通貫で手掛け、持続可能なエネルギーインフラの構築を支えています。
事例について詳しくは、こちらのページをご覧ください
24時間安定稼働が可能な地熱発電において、住商は40年以上の実績を誇ります。インドネシアのムアララボ地熱発電事業では、約85MW規模の1号機を2019年に稼働開始。日本企業として初めて試掘前の初期段階から参画し、完工を達成しました。現在は、2027年の商業運転開始を目指し、隣接地で約83MWの2号機増設を進めており、合計で約168MW規模(約90万世帯規模)の供給能力を見込んでいます。住商はムアララボ1号機、2号機の建設にも関与しており、これまでインドネシア・ニュージーランドで地熱発電所の建設実績を多数有しています。
地熱発電は地下資源の特性上、「発電に十分な蒸気が得られるかわからない」という不確実性を伴います。住商は長年の資源開発で培った知見に加え、スタートアップ企業等との連携による最新の探査・デジタル技術の活用を通じて、こうした課題と向き合い、難易度の高い地熱発電の開発に挑み続けています。
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再生可能エネルギーの弱点である発電量の変動を補うために住商が取り組んでいるのが、大型蓄電池事業の推進です。日本全国でプロジェクト開発を進めており、足元では他社に先駆けて特別高圧送電系統に接続し、広範囲に円滑な再生可能エネルギーを送り届ける、大型蓄電事業の運営実績を積み上げており、2030年には500MW以上への拡大を目指しています。
また、再生可能エネルギーの導入が進む欧州などにも、事業拡大しています。蓄電池を設置するだけではなく、再生可能エネルギーの出力変動や電力需給状況に応じて充放電を適切に制御するノウハウこそ、住商が長年培ってきた経験を生かすエリアであり、ビジネスを通じた再生可能エネルギーの最大活用に貢献しています。
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エネルギーの「その先」へ。住商が目指す未来
住商が再生可能エネルギー分野で果たす役割は、発電所を増やすことだけではありません。再エネや蓄電池を組み合わせた高度なエネルギーソリューションを通じて、電力を「つくる・とどける・つかう」という一連のバリューチェーンをトータルに支えるインフラの構築を目指しています。これにより、地域の脱炭素化を面的に推進するだけでなく、非常時のエネルギー活用の選択肢を広げるなど、地域のレジリエンス向上への貢献も視野に入れています。加えて、脱炭素社会の実現に向けた新たな手法として、「カーボンクレジット」の市場開拓にも取り組んでいます。
住商が担う役割のひとつは、地域の方々と対話を重ねながら、最新技術や事業ノウハウを生かして、出力変動を適切に制御し、再生可能エネルギーを最大限に活用できる安定した社会基盤へと磨き上げることです。現場に深く入り込む実行力と、グループの総合力を生かした構想力によって、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現をこれからも力強く推進していきます。
事例について詳しくは、こちらのページをご覧ください
よくある質問
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった、自然界に常に存在し、枯渇することのないエネルギー源を指します。発電時に二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスをほとんど排出しないため、地球温暖化対策の切り札といえるでしょう。一度利用しても比較的短期間に再生が可能で、持続可能な社会を支えるクリーンな電力として期待されています。
再生可能エネルギーの導入は、脱炭素経営による企業価値の向上や、持続可能な事業活動の基盤構築に直結します。また、化石燃料の価格変動に左右されづらい安定した電力調達を可能にし、中長期的なエネルギーコストの安定化を図れる点が大きなメリットです。さらに、環境負荷の低い製品やサービスの提供を通じて、変化する市場環境における新たなビジネス機会の創出にも寄与します。
再生可能エネルギーが必要とされている主な背景として、気温上昇を抑える国際的な約束である「パリ協定」の達成と、カーボンニュートラル社会の実現が挙げられます。また、エネルギーの多くを海外に頼る国々にとって、自国で生成可能な再生可能エネルギーは、エネルギー自給率向上と安全保障の観点からも重要です。技術革新により発電コストが劇的に低下し、世界の「主力電源」として経済的にも合理的な選択肢となりつつあることも大きな要因といえます。