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復興のシンボル、福島県南相馬市の太陽光発電所

2023.10.1

2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県南相馬市。沿岸部では依然として堤防、防災林などの復旧・改修工事や圃場整備(ほじょうせいび)※が進められ、震災の影響の大きさがうかがえる。住友商事は、南相馬市の復興に貢献するべく、現地で2つの太陽光発電事業に取り組んでいる。そのうちの一つ、住友商事グループのソーラーパワー南相馬・鹿島が手掛ける「南相馬真野右田海老太陽光発電所」が、2018年3月20日に商業運転を開始。18年4月、発電所の完成を祝う竣工式を取材するため、現地を訪れた。

※圃場整備…水田や畑をより良い農地にするため、耕地区画や用排水路などの環境条件を整備すること

この記事は2018年8月に公開された内容です

  • 制作チーム

    木下 智史

    2017年入社。コーポレートサイトを担当。学生時代は柔道部で日々闘い続ける4年間を送った。趣味は食べ歩きで、「人生とは?」と問われれば「食べることと見つけたり!」と続ける。たまに行く海外旅行では美術館とご当地グルメを探すのが楽しみ。お気に入りの場所はバルセロナで、今一番行ってみたい場所は台湾。

南相馬市の復興のために

JR常磐線鹿島駅から会場までの道中、辺り一面に太陽光パネルが並んでいる。南相馬真野右田海老太陽光発電所だ。竣工式の当日は抜けるような晴天で、無数に広がる太陽光パネルが日光を反射して白く光っていた。南相馬市は、震災を契機に再生可能エネルギーの導入を推進している。実際、太陽光発電所の隣には、巨大な風車が立っており、風を受けて回る風車ときらめく太陽光発電所のコントラストがそのことを示しているようだった。

川の両岸に広がる太陽光発電所の青いパネル群

同市は12年10月に「南相馬市再生可能エネルギー推進ビジョン」を策定し、30年には市内の消費電力のほとんどを再生可能エネルギーで賄うことを目標としている。当社が現地で手掛ける2つの太陽光発電所は、そのプロジェクトの達成において大きな役割を果たすことが見込まれ、地元からの期待は高い。

発電所完工への感謝を捧げる竣工式

プロジェクト関係者たちによる力強い握手

発電所のそばに設けられた会場に、プロジェクトに携わった企業各社やテレビ・新聞社などのメディアが集まり、発電所の完成を祝う竣工式が始まった。初めに、2016年5月に着工し、約2年にわたった建設工事の完了を祝う神事が厳かに執り行われた。

実は17年夏、南相馬真野右田海老太陽光発電所は台風に見舞われ、設備の一部が水没した。工事の進捗に大幅な遅れが見込まれたが、チーム一丸となった復旧作業で予定通りの工期を守ることができたそうだ。プロジェクト関係者にとって、この竣工式は、完工までの困難が思い出される感慨深いものではないかと想像された。

登壇者の挨拶で、「本発電所の完成により、『南相馬市再生可能エネルギー推進ビジョン』で掲げる目標達成の道筋が明確になった」と語った門馬南相馬市長。「本発電所が地域の皆さまに愛着を持って受け入れていただけるよう努力し、南相馬市の復興と発展に少しでも貢献していきたい」と語ったソーラーパワー南相馬・鹿島社長の平野貴之。南相馬市の復興のためにという決意の下に集まった関係者によって、多くの人に待ち望まれていた施設が完成したことを感じた。

太陽光発電所の見学へ

竣工式の後にはメディアとともに移動し、太陽光発電所の見学に訪れた。南相馬真野右田海老太陽光発電所は、福島県最大、東北地方有数のメガソーラー発電施設である。総事業費は約220億円。出力は59.9メガワットを誇り、一般家庭約2万世帯の使用電力量を発電する。

太陽光発電で生み出された電力は所内変電所で電圧を調整され、東北電力に送電される

太陽光パネルを一望できるデッキに立つと、パネルが果てしなく広がっているのが自分の目で確認できた。太陽光パネルの枚数は約22万枚で、南相馬市から北に並べていくと、最後の1枚が青森市に到達するそうだ。両市は直線距離で約350キロメートル離れているので、東京から仙台までの距離と同じくらいになり、改めて本発電所のスケールの大きさに驚いた。現地は沿岸部で風が強く、巻き上がられた砂や埃がパネルに付着するのではと疑問がよぎったが、そこは心配無用。太陽光パネルは多少の埃が付着しても発電効率に影響はなく、雨が埃を洗い流すことによってパネルは自動的に綺麗に保たれる仕組みだという。

現在、発電した電力は再生エネルギーに対する経済産業省の「固定価格買取制度(FIT)」によって一定額で買い取られる。当社はこの発電所を20年間にわたり主体的に運用する予定であり、FITが終了した後も引き続き本事業への取り組みを行っていく方針だ。一時の利益を追い求めるのではなく、社会的に意義のある事業に取り組む。本事業が「地域環境との共生」、「地域と産業の発展への貢献」の2つの当社マテリアリティを体現していることが取材を通して伝わってきた。

地域の人に愛着を持ってもらえる事業へ

一面に広がる太陽光パネル。人と比べると一枚一枚が大きいことがわかる

今回の取材を通して、本事業は地域の人との関係をとても大事にしていることを強く感じた。太陽光発電が市の復興のための事業であるからこそ、発電所を子どもたちの環境教育や地域の観光に活用するなど、常に地域に役立つよう考えられている印象を受けた。雇用の面でも、発電所に必要な資格者は地域から雇っており、太陽光発電所を運営していく上での重要課題である草刈りについては、地元企業への委託を検討している。

今後数十年間にわたって運営されていくには、地域に根差し、愛される事業でなければならない。見渡す限りの太陽光パネルが、南相馬市の復興のシンボルとして地域に貢献していく。その門出に立ち会えたことが心から幸運に思えた。

南相馬市太陽光発電事業の紹介映像

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