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2023.10.1

Business

さらなる経済発展を続けるフィリピンで鉄道インフラ整備の促進に貢献

この記事は2022年6月に公開された内容です

アジアを中心に多くの実績

住友商事では古くから手掛けてきた鉄道車両輸出のプロジェクトに加え、世界各国におけるニーズに応える形で、1980年代から、三菱重工業などの鉄道関連メーカーをパートナーに、主にフィリピン、インドネシア、台湾、タイ、ミャンマー、ベトナムなどのアジア諸国および米国に向けて、鉄道システムを輸出するプロジェクトに取り組んできました。これらのプロジェクトの内容は、土木構造物や線路の建設から車両・運行システムまでを一括で提供するフルターンキー案件や、運行・保守事業、現地での生産・技術移転、機関車・貨車のリースと多岐にわたっています。

日本企業による初の海外都市鉄道建設

鉄道の事業は、「下物」と呼ばれるトンネルや高架、駅といった土木構造物などの分野と、「上物」と呼ばれる車両、軌道、電力設備、信号通信、運行システムなどの分野に大きく分けられます。住友商事はそのいずれにも手掛けられる点が強みです。フルターンキー案件ともなると、その名の通り、鉄道事業者が鍵を回せば、すぐに運行が始められる状態まで完成させることが求められます。

住友商事は、アジアを鉄道分野における重点地域と位置付けており、中でもフィリピンは最注力市場です。現在、フィリピンを走る都市鉄道はマニラ・ライトレール(LRT)1号線、LRT2号線、マニラ・メトロレール(MRT)3号線があり、当社は全ての鉄道建設に関わってきました。

当社がフィリピンの鉄道事業に参入したのは、1997年にさかのぼります。三菱重工業をパートナーとして、MRT3号線建設プロジェクトに着手したのがその始まりです。MRT3号線は、マニラの主要幹線道路であるエドサ通り沿いを走る都市鉄道です。エドサ通りの慢性的な交通渋滞の解消を目的として計画され、当社は高架構造物、駅、レール、信号、通信、変電設備、架線、車両基地、車両を含む、全長17キロメートル、総駅数13駅の都市交通システム一式を建設しました。これは、日本企業による初の海外都市鉄道建設プロジェクトでした。2000年の全線開業後は、2010年代の一部期間を除き今もメンテナンス契約も請け負っており、MRT3号線は十数年にわたりマニラ市民の移動手段として活用されてきました。

エドサ通り沿いを走るMRT3号線。今日もマニラの交通を支える。

MRT3号線再生プロジェクト

改修を受ける車両。顔である前面窓の交換中。

当社契約終了後の2012年以降は、MRT3号線のメンテナンス契約会社が頻繁に変わったため、システムの老朽化やメンテナンスパーツの調達の停滞などが発生していました。このため、乗客の輸送力がピーク時の半分以下に低下していました。

当社と三菱重工グループは、早急な事態改善を望むフィリピン運輸省からの要請を受け、日本政府による円借款の供与というサポートも得て、18年にMRT3号線の改修およびメンテナンスプロジェクトを受注しました。このプロジェクトにおいては、老朽化などにより稼働率が低下した車両や設備一式を、日々の運行を維持したまま大規模に改修し、安全で効率的な路線への復旧を実現しました。

フィリピンのさらなる都市鉄道網の整備と発展に向けて

フィリピンは、ASEAN諸国の中でも高い経済成長を誇ります。人口は1億人を超え、中でもマニラ首都圏の人口急増は著しく、人口集中による交通渋滞は深刻です。人々の移動や貨物物流への影響など、交通渋滞による経済的損失は1日約35億ペソ(日本円にして約75億円)ともいわれています。加えて、交通量の増加に伴う二酸化炭素の排出は、マニラ市内に重大な大気汚染を引き起こしかねません。

フィリピンの現政権は引き続き鉄道分野を最重要インフラと位置付けています。住友商事はMRT3号線メンテナンスプロジェクト以外にも、2019年に南北通勤鉄道事業フェーズ1(車両104両納入契約)、20年にマニラ首都圏地下鉄事業(車両240両納入契約)、22年には南北通勤鉄道フェーズ2&3延伸事業(車両304両納入契約)を総合車両製作所と共に受注しました。 当社はこれまで培った鉄道インフラ整備の豊富な経験を生かし、マニラ首都圏の交通ネットワーク強化に取り組みます。安価で利便性の高いアクセスを構築し、交通渋滞の緩和による環境改善と経済的損失の解消を実現することで、フィリピンの経済発展に寄与していきます。

また、鉄道インフラの建設に加えて、鉄道運行・保守にも取り組みを広げています。20年にマニラ首都圏における鉄道コンセッション事業へ出資参画し、現地民間企業と共に、本格的に鉄道事業者としての取り組みを開始しました。本事業には、鉄道そのものの運行管理・保守に加えて、施設内のリテール事業、施設の有効活用、広告事業など、鉄道に付帯する事業も含まれており、鉄道産業の裾野へと当社の業容を広げていきます。

マニラ首都圏の深刻な交通渋滞
南北通勤鉄道フェーズ1車両

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