- TOP
- Enriching+TOP
- 電力を安定的に社会に届け、人々の生活や企業活動を支える電力小売事業
2023.10.1
Business
電力を安定的に社会に届け、人々の生活や企業活動を支える電力小売事業
この記事は2022年10月に公開された内容です
電力自由化によって生まれた新しい市場
日本で電力自由化の動きが端緒についたのは1990年代半ばのことです。電力小売分野においては、2000年に大規模工場やオフィスビルなど、特別高圧と呼ばれる電力契約をしている大型需要家への小売りが一部事業者に認められるようになりました。
以後、小規模工場など向けの「高圧」、一般家庭など向けの「低圧」、と段階的に自由化が進み、2016年4月に電力小売分野の完全自由化となりました。
電力小売自由化によって、法人も一般家庭も、電力会社を選べるようになりました。価格の安い電力会社、サービスの充実した電力会社、あるいは環境に配慮した電力会社など、さまざまな選択肢が提示されたのです。
2001年から電力小売ビジネスに参入
住友商事がサミットエナジーを設立し、西日本地域において電力小売を始めたのは、まだ電力自由化が初期段階にあった2001年7月のことです。2004年には、本格的な全国展開を開始しました。現在、同社が保有する4つの発電所のほか、住友商事グループおよび他社が保有する発電設備に加え、電力自由化によって生まれた卸電力取引市場から電力を調達し、法人・個人の顧客に向けに電力を販売しています。
サミットエナジーは、2つの大きな強みを持っています。一つ目は、自社のオペレーションセンターを活用し、自ら需給管理・需給調整を行うことで顧客の電力使用の状況に応じて複数の電力調達先から最適な組み合わせで必要な電力を調達することが可能となり、結果として比較的安定した価格で電力を提供できること。二つ目は、サミットエナジーで長年培った国内電力小売市場の知見や高度な情報管理システムを利用すると共に住友商事グループのネットワークを生かし、広範な顧客のニーズをくみ取り、顧客の要望に沿った料金メニューや契約条件で電力を届けられることです。
循環型モデルで電力を安定的に生み出すバイオマス発電所
現在、サミットエナジーグループで運営している発電所は、糸魚川バイオマス発電所(新潟県糸魚川市)、千葉みなと発電所(千葉県千葉市)、半田バイオマス発電所(愛知県半田市)、酒田バイオマス発電所(山形県酒田市)の4施設です。
酒田バイオマス発電所を含む3つのバイオマス発電所は、樹木由来の燃料を使って電気をつくる木質バイオマス発電所です。
「樹木は、発電の燃焼過程で発生するCO2を成長過程で光合成の作用によって吸収しているとされ、その樹木を利用して電気を発生させる」という循環型モデルがバイオマス発電所の特徴です。気象変動の影響を受けやすい太陽光発電や風力発電など、他の再生可能エネルギーに比べて安定的な電力供給が可能であるというメリットがあります。糸魚川バイオマス発電所は、2005年に電力小売り用として5万キロワット規模のバイオマス発電を実現した先駆的な施設です。同発電所は、建築廃材を主燃料として利用しておりますが、2016年の熊本地震や2024年の能登半島地震の震災ガレキに含まれる木屑の処分等にも利用されており、操業20年を経過した現在でも社会に大きく貢献しています。
2017年6月には、7万5,000キロワットの出力を誇る当時では国内最大級のバイオマス発電所、半田バイオマス発電所の商業運転がスタート。主に国内の建築廃材を利用している糸魚川バイオマス発電所に対し、半田バイオマス発電所では木質チップやパーム椰子殻(PKS)を海外から輸入していますが、昨今では地元愛知県や近隣の岐阜県、三重県の間伐材も燃料としての利用比率を向上させており、地域経済への貢献に繋がっています。
発電所は大型船の入港が可能な水深の深い国内有数の港に面した場所に建設され、スムーズな燃料輸送、荷揚げ、搬入を実現しています。また、燃料の粉じん飛散を防ぐ完全密封の燃料受入・搬送施設をつくるなど、地域社会との共存を強く意識した工夫が凝らされています。
サミットエナジーにとって3つ目のバイオマス発電所となる酒田バイオマス発電所は、海外から輸入する木質ペレット(おがくずを固めた素材)に加えて、必要な燃料のほぼ半分を主に山形県内の間伐材を加工した木質チップで賄い、地域林業の活性化に寄与することを目指しています。
また、機械系、電気系の専門知識を持つ社員をはじめ、従業員のほとんどを地元で採用するなど、半田バイオマス発電所同様、地域密着の姿勢を鮮明にしています。
「木質バイオマス」には、国内建築廃材、国内間伐材、輸入木質チップ、輸入PKS、輸入木質ペレットと、多様な種類があります。サミットエナジーでは、3つのバイオマス発電所で利用する燃料の種類を変えることにより、燃料調達リスクをマネジメントし、安定的な発電を実現していきます。
変わりゆく市場で確かな社会的価値を生み出していく
2016年の電力全面自由化以降、新電力市場には数多くの企業が参入しました。その数は現在およそ730社に上ります。電力市場全体における新電力のシェアは2022年の電力市場価格高騰時には一時縮小しましたが、現在は約18%まで伸びています。また国内電力需要は節電や人口減により縮小傾向でしたが、データセンターや半導体工場の新増設等による需要増により2034年度には2024年度対比約6%増の8,524億kWhに達すると経済産業省は試算しています。カーボンニュートラルへの対応、新技術の採用等により、参入事業者も市場自体も今後変わっていくことが予想されますが、そんな市場で24年間にわたり生き抜いてきた経験を生かし、安定的に顧客に電力を届けること。それがサミットエナジーの目標です。
循環型資源の活用による地球環境との共生、地域への貢献、人々の快適な生活を支える基盤づくり。サミットエナジーは、これらの社会的役割を今後も大切にしながら、電力市場で確実に存在感を発揮することを目指していきます。