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2024.6.19
理系出身社員対談「理系の知識、商社のビジネスにどう生きている?」
住友商事では、理系出身者が多様なビジネス分野で活躍しています。どちらかというと文系出身者が志望するイメージが強い総合商社で、理系のバックグラウンドをどのようにビジネスに生かしていくことができるのか。今回は、医薬事業ユニットの大町朋弘と国内ヘルスケアユニットの長谷川早紀に、理系出身者の視点から見た住商というフィールドについて聞きました。
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ライフサイエンスSBU
医薬事業ユニット大町 朋弘
大学院では農学研究科応用生命科学を専攻。2016年に住商入社後、メディカルサイエンス部(現・医薬事業ユニット)より子会社の住商ファーマインターナショナルに出向し医薬原料トレードに携わる。その後リスクマネジメント第二部を経て、現在は医薬事業ユニットに帰任し、医薬関連の新規事業開発を担う。
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ヘルスケアSBU
国内ヘルスケアユニット長谷川 早紀
大学院では生命科学系の研究室に所属し修士号を取得。卒業後は飲料メーカーに企業研究員として在籍し、再生医療分野の技術開発・事業開発に従事。2023年に住商にキャリア入社後、ヘルスケア事業部(現国内ヘルスケアユニット)に所属し、ドラッグストア「トモズ」の主管業務や新規事業開発を担当。
文系のイメージが強い商社に理系出身の二人が飛び込んだ理由
まず、お二人の現在の所属部署と担当業務について教えてください。
大町 私は、医薬事業ユニットに所属し、医薬事業の新規事業創出に携わっています。所属している部署は理系出身者が大半で、薬剤師の資格を持つ人も多いです。新卒採用者から中堅、ベテランまで幅広い層のメンバーで構成されています。
長谷川 私は国内ヘルスケアユニットに所属し、ドラッグストア「トモズ」の主管業務と新規案件の検討を担当しています。社内では新しい組織であることもあり、他部署からの異動者、キャリア採用者、新人など、多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成されています。今までのキャリアを通して培ってきたものをお互い持ち寄り、手を取り合って日々頑張っているような組織です。
理系学生は研究職などを志望する人も多いと思いますが、総合商社である住商を活躍の場として選んだのはなぜですか?
大町 学生時代の研究テーマが細胞だったこともあり、医薬開発に興味があって、就活では製薬会社の研究職を志望していたんです。しかし、親友から「総合商社、向いているんじゃない?」と言われたことをきっかけに意識するようになりました。確かに、研究現場という専門的なフィールドよりも、さまざまなステークホルダーと関わり合いながら、新しいビジネスを作ることができるフィールドの方が、自分は面白く働けるかもしれないと。商社の中でも住商には、医薬ビジネスを一貫してサポートする住商ファーマインターナショナルがあります。「医薬や創薬に強い総合商社」という部分に引かれて、業界では住商だけを受けました。
長谷川 私の場合、新卒の就活の頃は研究職以外視野に入っていませんでした。しかし、新卒で入社した飲料メーカーで研究員として働いていた際、社外パートナーと一緒に開発技術を事業化する仕事の楽しさを知ったことをきっかけに、ビジネス領域でのキャリアに興味を持ち始めました。総合商社は、さまざまな業界を点ではなく面で押さえており、また業界への関わり方がトレード・事業投資・事業開発など多岐に渡るため、ビジネスにおける選択肢が多いのが魅力的だと感じました。
また、もともとヘルスケア領域に関心があったことも理由の一つです。ヘルスケアの主体は「生活者」であると考えていますが、その点、住商には、スーパーマーケットのサミットやケーブルテレビのJ:COMなど、生活者と身近に関わる事業会社が多くあります。この強みを生かして、ヘルスケア領域で新たな価値を生み出したいと思い、住商への転職を決めました。
これまでに担当した業務の中で、特に苦労したプロジェクトや、ご自身の成長につながったと思うエピソードなどがあれば教えてください。
大町 理系出身で、入社後も原料トレード業務で製薬会社や原料メーカーとのやり取りが多かった中、リスクマネジメント第二部にて全社目線での投資案件を見ることができました。これにより、今まで触れてこなかった財務・会計、法務といった知識を身に付けることができたのは一番自分の成長につながったと思います。
長谷川 大町さんの内容と重なりますが、理系出身かつ前職も理系畑だったので、事業会社を主管する上で経理・財務の知識を急ピッチで獲得する必要があった点は少し苦労しました。また、昨年度は主管するトモズの中期経営計画の策定をサポートしました。業界の潮流や国の政策の把握・トモズの現状分析・戦略の打ち出し・モニタリング体制の構築といった一連のプロセスを伴走しまとめ上げる中で学ぶことは非常に多かったです。
研究経験で身に付けたスキルを発揮できるフィールド
実際に住商で働いてみて、どのようなところが魅力的だと感じますか?
大町 組織風土がフラットだと感じます。私は2022年に社内起業制度「0→1(ゼロワン)チャレンジ」で、苦みが少なく飲みやすい漢方を開発する事業案を採択されました。若手の取り組みに対しても、立場を越えて、皆さん前向きに話を聞いてくれる印象です。
長谷川 フラットな組織というのは、本当にそうですよね。私の所属するヘルスケアSBUの中では、研究職出身で業界経験が全くないというのは珍しいキャリアなのですが、入社3カ月後には新人の指導、その後も事業会社の予算策定、中期経営計画策定など、一つ仕事を覚えるとすぐに次の新しい仕事を任せてもらえました。一人一人のバックグラウンドや意向を尊重しつつ、日々誠実に業務に向き合い組織に貢献していれば、新しい業務をどんどん任せてもらえるので、毎日が刺激的で楽しいですし、成長機会が非常に豊富だと感じています。
現在の業務で、学生時代に経験したことが生かされていると感じるときはありますか?
大町 理系といっても幅広いため、研究していた内容が直接的に役立つことは多くはないかもしれません。しかし、同じ理系のフィールドではあるため、基礎知識や考え方が役立つことはあります。例えば、ステークホルダーや社員との会話の中で、学生時代に学んでいた遺伝子編集技術などに関連する話題が出たとき、すぐに理解できて、話が盛り上がったり、スムーズに説明できたりする場面はありますね。また、新規事業を考え出す際にも、学んできた基礎知識が生かされていると感じます。
長谷川 投資先を検討する業務の中で、論文や特許を読み込み、技術的な強みを整理することを求められることがあったのですが、その際は研究のキャリアを通してたくさんの論文を読み込んできた経験が役立ちました。また、これまでの経験から身に付いた「難しい内容を分かりやすく伝えるスキル」や「勉強の習慣」は、業務のさまざまな場面でポータブルスキルとして私を助けてくれています。
先入観をなくして、幅広い分野・職種に目を向けて
ご自身の学生時代やこれまでの経歴を通じて学んできたことを生かし、今後成し遂げたいことやキャリアプランはありますか?
大町 引き続き、新規事業の創出を最優先に取り組んでいきつつ、今後は事業会社経営といったキャリアを積んでいきたいです。長谷川さんが、「勉強の習慣」とおっしゃいましたが、理系の学問では、必要な論文を読み込み、仮説を立てて、それを検証するというのを、ひたすら繰り返します。そのプロセスで会得した考え方は、事業開発にもきっと応用できると考えています。
長谷川 同感です。一定の専門知識を身に付けたり、基礎的な研究を行ったりすることで、対象を深掘りする力が付くと感じます。たとえ仕事で向き合う対象が理系の領域でなかったとしても、深掘りする力があれば、どんなことでもチャレンジできるのではないでしょうか。
私はこれから、研究のバックグラウンドとビジネススキルをかけ合わせて、技術を社会全体にとっての価値に昇華していくような取り組みを実現したいですね。そのためにも、事業投資、事業開発、事業会社経営といった幅広い経験を積んでいきたいと思っています。
最後に、住商を志望する理系出身者に向けて、アドバイスや応援のメッセージをお願いします。
大町 文系、理系で選択肢を決めるのではなく、今まで自分が培ったスキルが生かせるか、入社後に身に付けたいスキルが得られるかといった観点で、就職先を選ぶといいと思います。私は親友の何げない一言がきっかけで、商社に興味を持ちました。最初は合わなかったら辞めて、研究の道に進もうと思っていましたし、研究職を選んでいたら今頃どうなっていたかなと振り返ることもあります。しかし、そんな気持ちを上回って、住商での仕事は刺激的で面白いと言えますね。理系出身者の中でも好奇心が強く、興味・関心の幅が広い方であれば、住商の中で活躍できる機会はたくさんあります。
長谷川 文系、理系を問わず、何かに一生懸命打ち込むことで得られた経験やスキルは、何らかのかたちで後に必ず生きてくると日々実感しています。まさに「仕事の報酬は仕事」のような職場で、転職前の想定をはるかに超えた貴重な業務経験を積めています。「自分は研究しかやってこなかったから、商社での活躍は難しいのでは」といった先入観は持たず、ぜひとも広い視野で、ご自身の活躍のフィールドを描いてみてください。